ちょっと”お昼寝”なんてレベルじゃない。完全に頭と心をリセットできるバーでした。
その不思議なバー「PAUZ」はブリュッセルにあります。お店に入るとまずはカウンセリングを受け、15分(€7〜15)、20分(€9〜18)、30分(€15〜25)のコースを選べます。時間になればスタッフが起こしに来てくれるとのこと。
6つの個室が用意されており、それぞれ高級マッサージ機やマッサージ機能付きウォーターベット、シンプルなリクライニングベットなどが配置されています。ちなみに一番人気は15分コースの高級マッサージ機だそう。
すべてのコースにサウンドリラクゼーションがついています。体験させてもらったのはマッサージ機能付きウォーターベット。リラクゼーションミュージックとアロマの香り、さらには光によるセラピーも。極めつけは酸素ケア。酸素が機器から放出されます。
ウォーターベットのマッサージ機能が本当に心地いい。一般的なマッサージ機の指圧ではなく、ジェットバスのような感覚。さらに音と光、匂いが心をほぐしてくれます。もう一回やりたい。
通常は部屋を出た後にドリンクの提供があるそう。一応バーですから。店内にはアロマや安眠グッズも販売しています。
さて、ここからはインタビュー形式で昼寝バーについて詳しくお伝えします。今回お話を聞いたのはスタッフのGaêtanさんとPasqualeさん。
右:Gaêtanさん 左:Pasqualeさん
Q.どうして昼寝バーを思いついたのですか?
A.パリの展示会で昼寝バーを見かけて、おもしろそう!と思いブリュッセルでも始めようということになりました。ブリュッセルは仕事で疲れている人も多いのでぴったりなんじゃないかと。
Q.1日にどれくらいのお客さんが来ますか?
A.平均は20人くらいですね、多いと30人とか。お客さんの層はバラバラで主婦の方もいればビジネスマンもいます。時々、旅行者の方が時差ボケ解消のために来たりします。
Q.立ち上げに際して、苦労したことはなんですか?
A.もちろん色々問題はありましたが、仕事中に昼寝を取るということが一般的でなく、そのマインドセットを変えることが一番の問題でした。ベルギーではマッサージ機ではなく、人にマッサージしてもらうことが普通。ですので、機械にマッサージしてもらうことも抵抗があったと思います。
しかし、一度体験してもらえれば昼寝バーの良さを分かってもらえます。
すごく疲れた顔でお店にやってきて、お部屋に入り、出てくると別人のようにスッキリした顔になっています。スタッフが嬉しさを感じる瞬間でもありますね。
私たちは昼寝を提供しているように見えますが、私たちは個人にその人のための「時間」を提供しています。
Q.今後の展開を教えてください。
A.企業のオフィスの中に昼寝バーを作りたいですね。培ってきたノウハウやシステムを企業に提供することで、わざわざここに来ることなくなります。イベントなども開いて昼寝の重要性を伝えていきたいです。
毎日のスキマ時間を狙って展開したビジネスですが、将来的にはBtoB、つまり福利厚生の一部として昼寝バーを企業に提案したいと考えているようでした。現在ベルギーでも法律の改正により、大企業が従業員ケアに力を入れており、タイミングも後押しになっているとのこと。シエスタ文化がベルギーに広まるのも時間の問題かもしれません。
PAUZ
+32 2 230 07 80
Rue Belliard 166, 1040 Brussels
ライター&キュレーター
小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」