Airbnbが年内に富裕層向け新サービス「Airbnb Select」をローンチすることを発表しました。
富裕層に向け、ペントハウスや高級物件での「バケーション」を提案していくサービスです。
サンフランシスコの一室から始まったAirbnb、このタイミングでなぜ富裕層向けのサービスを狙うのでしょうか?Airbnbホストの経験がある筆者が「民泊の未来」を解説します。
Airbnbのビジネスモデル
宿泊マッチングサービス「Airbnb」は手数料が主な収入です。泊まりたい人(ゲスト)と空いている部屋や家を貸したい人(ホスト)の両方からマッチング手数料をもらっています。
ホスト側は3%ほど、ゲスト側からは5%〜15%程度を課金するようになっており、(諸条件あり)
その気になれば15分ほどで、ホストの設定ができるこの手軽さが魅力で始める人も多いように感じます。また盗難や破損が起こった場合の保証も充実しています。
さらに泊まる部屋の写真や、アメニティなどの備品、設備、また他のゲストが残していったレビューなど見れるようになっています。こちらもゲストを評価できる仕組みになっているので、時には母国のお土産など(高級な紹興酒!)を置いていってくれる時もありました。
旅行の予定がなくても、アプリを見ているだけで楽しく、使いやすさも抜群です。
Airbnbでは宿泊だけでなく、「地元の人が提供する体験ツアー」のマッチングも行っています。その土地の料理を作ることやサーフィン、コーヒーの淹れ方などバラエティーに富んでおり、宿泊業を超え、旅行業全般に渡って事業を広げています。
Airbnb Selectとは?
今回発表されたのは「Airbnb Select」と呼ばれる富裕層向けのサービスです。
掲載する物件に厳しい基準を設け、厳選された物件のみを掲載。富裕層に向け提供できるように、すでにテストローンチしています。ペントハウスや大きな物件が対象となりそうです。
現状スーパーホスト制度はありますが、掲載している物件に対してランク付けするような制度はありません。
実は、高級物件はエアビーの大きな収入源です。取引金額が大きくなるほど、Airbnbに入る金額もそれに伴って大きくなるためです。Airbnbとしても今回のサービスは、高収益を見込んでいると思われます。
Airbnb Select、「民泊」の文脈と言うよりはロッジや別荘、旅行や留学などで短期間空いてしまう部屋を、家具などを置いたまま他の人に貸し出すサブレット貸しのイメージに近いと考えます。それらに関連する業種にはAirbnbのインバウンドを取り込むチャンスになるかもしれません。
日本にAirbnbが来た時には、先駆者たちが先行者利益を得ていました。今回も経験上、同様になると感じています。Airbnb Selectの早期活用は、チャンスです!
一方、私のような現在Airbnbを運用している人にとって、(条件によっては)さらなる設備投資が必要になる可能性があります。しかし、新規参入する人たちに比べ、すでに「どうやったらゲストが喜んでくれるか」などノウハウがある面で有利でしょう。
Airbnb Selectに早い決断で投資を行えばポジションを獲得できるかもしれません。
2極化するAirbnb体験
このサービスの開始は何を意味するのでしょうか。筆者は「ラグジュアリー型と徹底したローカル型」に二極化すると感じています。
「旅するように暮らす」というコンセプトから始まったのがAirbnbです。現地の人と交流しながら、世界中に友人を作り肌で文化を感じるコトを心地良いと感じる旅行者もいる。しかし、休暇を誰にも邪魔されず優雅に過ごしたい旅行者もいるのも事実です。
私もゲストと直接会うことはほとんどなく、トラブルがあった時のみ現場に行くようにしています。実際、私の友人はAirbnbで高級な物件をまるごと貸し出し、高い稼働率で運用をしています。
一方で必ずゲストに会い、時間があれば一緒に居酒屋に行ったり、仲間を呼んでパーティをしたりするホストの友人もいます。レビューが評判になり、毎月長期で泊まるゲストで満室状態です。
ラグジュアリーに過ごす休暇か、どっぷりとローカルに浸かる旅か。Airbnbはどちらも提供できるサービスになるでしょう。
『最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化に対応できる者である』
これは、チャールズダーウィンの言葉です。この時代の変化の速さを感じると、変化できるだけでなく、「変化をつくれる」ものが生き残るのかもしれません。
ライター&キュレーター
小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」