パタゴニアの一手は、ソーシャルビジネスというありふれた切り口からは、もはや語れない。
今回のブラックフライデーに打ったパタゴニアの一手が興味深い。ブラックフライデーとは、感謝祭(11月の第4木曜日)翌日の金曜日であり、年末のクリスマス・セールが始まって、大きく消費が伸びることからそう言われる。
そんな売上拡大期に、あえて消費を抑えるようなキャンペーンをパタゴニアは打つのだが、今年のキャンペーンは、”パタゴニア製品を交換する”というキャンペーンだ。
Worn Wear® Stories | Presented by Patagonia
自分が持っているパタゴニアの衣類を、全米8つの店舗に持っていき、自分が欲しいパタゴニアの古着と交換することができる。
その店舗に自身が欲しいと思う衣類がなければ、オンラインのプロダクト交換プラットフォームであるYerdle経由で、数千のパタゴニア製品から選ぶことができる。
成熟した社会の消費スタイルへ向かって
PHOTO: Unrecognizable woman shopping from Shutterstock
未来の人たちは、現代の”消費社会”をいったいどのように評価するのか?
どんなに当たり前になっている概念も、それが生まれた瞬間があり、培われてきた歴史的な流れがある。
例えば昨今の、スーパーセールと題して行われる超消費キャンペーン。それは、現代の経済社会が、当然の帰結として行き着く先であった。
「成熟」というキーワードが、ここ数年脚光を浴びている。それは多くの場合、一人一人の人間性という語り口で説かれている。しかし、その先にある巨大な語り口は”人類の成熟”という社会的論点である。
もし、人類が成熟、時に進化という文言で語られる方向へと進むのなら、そこにはいったい何があるのか?そんな問いが今、私たちの目の前に突きつけられている。
ここの回答を出すべく、それぞれが、現状と取っ組み合っていく活動の数々は、人類史上の偉大なる試行錯誤の形跡として、歴史に厳然と刻まれていく。今回のパタゴニアのキャンペーンも、きっとその例外ではないだろう。