「移動革命」が進んだ後の世界には、一体何が見えてくるのか。
ドイツの長距離ライドシェアサービス「Carpooling」が、この度Uberと提携し、米国進出を果たす。
Carpoolingは、旅行や出張などの時に、より安い価格で環境に優しい移動をすることを目的に利用される。更に、相乗りによる新たな出会いと学びが、このサービスの人気を支えるもう1つの理由である。
Uberとの提携理由は、ラストワンマイルをUber利用することで、快適さを増加させることにある。具体的に言えば、 Carpoolingで長距離乗車する乗り口まで、また降車した場合もそこから目的地まで移動する場合にUberを使う。長距離移動のためのCarpooling、タウンカーとしてのUberと役割を明確化し、サービスを強化していくことが狙いだ。
次世代移動革命が人類の深層に影響を及ぼす
PHOTO: Fantastic mountain lake from Shutterstock
今起こっている、自動車革命以来の移動革命は、私たちの社会を新たな段階へと引き上げる。
1つ私が注目していることは、人類の深いところへの影響であり、結果起こる感覚的進化と成熟である。
人間は、通勤と、買い出しという繰り返しの限界を少しずつ打破していく。働き方も少しずつ変わっていき、移動のコストも減少する中で、私たちの移動距離はこれまでよりも伸びていく。結果、人類はこれまでにない新たな感性を手にする。
よく”旅は人を成長させる”という言葉を耳にする。これは、計量可能なスキルを身につけるということではなく、これまでにない経験値が人間に深みを与えてくれるという意味で使われる。
リーマンショック以降、人類は、経済の時代から、芸術文化、そして哲学の時代へと移り変わると言われ続けた。その潮流は、現在、水面には見えずとも、深海でうねりを上げて大きくなっている。最近多く取り上げられる「地方で働く」というテーマは、そのうねりから放たれる水面の動きである。
また、現在進行する移動革命は、そういった文脈ともうまく合流する。この先に見える人類的深化の色鮮やかな様相を見つめるにつけ、私の心は軽やかに宙を駆ける。