このクリスマスに「声を寄付する」と称された、メッセージ性の強いキャンペーンが行われ、注目を集めた。
英国のスーパーマーケットチェーン「Waitrose」が行ったそのキャンペーンは、ドリー・パートンの「Try」をそれぞれが歌い、その声を重ね合わせた音源をチャリティーソングにするというもの。
出来上がった曲は、コマーシャルソングにも使われ、iTuneなどで販売された売上は、100%慈善団体に寄付をされる。まさに声のクラウドソーシングで行うチャリティーキャンペーンだ。
日本のチャリティーソングとしては、小室ファミリーが歌ったYOU ARE THE ONEを思い出す人も少なくないだろう。この曲は当時、ミリオンセラーを達成し、曲の売上げは、小中学校のパソコン普及資金に当てられている。
これまでは、チャリティーソングというと、トップアーティストたちが歌うものと思われてきたが、Waitroseの事例が好例と認識され、企業や市民がコラボレーションする新たなチャリティーソングが登場してくるかもしれない。
群衆組織論が生まれる
PHOTO: Bringing in the new year. Large group of people from Shutterstock
来年2015年、群衆の時代はいよいよ本番を迎える。
日本においても、クラウド(群衆)は、ビジネス用語としては定着しつつあるが、この意味合いは広義な意味において社会に浸透していく。
仕事柄、”組織のこれから”について問われることがある。組織はなくなるのではないか?という意見も多いが、私はそうは思っていない。組織というのは、社会において普遍性を持つものだ。
ただ、これまでの企業が当然のように考えてきた20世紀型組織の重要性は、相対的に低下していくことだろう。そこで出現してくるのが、”群衆”を含んだ組織である。今回ご紹介したWaitroseのキャンペーンから、これからの組織について考えることは、意義深いことだ。
今使われる”群衆”という概念は、組織論に当てはめるなら、明らかに新たな時代の組織の一形態と捉えていけるだろう。21世紀の組織論は、常に群衆とともにあるのだ。