イニシアティブ2045が、テクノロジーによる「不死」を研究していく機関を立ち上げます。「人間の寿命を極限的に伸ばし、ロボットに人間の心を移す」という目標を持っています。
レイ・カーツワール氏やダライラマなどが、このプロジェクトに賛同を示しています。
今後のビジョンは次のようなものです。
2020年までに、脳につける「ブレインコンピューターインタフェース」によって動く作業用ロボットを作る。危険な環境での作業や救助活動を行えるようにする。
2025年までに、作業用ロボットに人間の脳を作り出す。つまり、人の意識、記憶、性格、考え方などをロボットに転送することができるようにする。
2035年までに、人間の意識を完全にアップロードできる人工頭脳を持つロボットを作成する、としています。
そして2045年までには、肉体に依存しない、全く新しい人類の誕生を予測しています。
これは決して、私たちが死んだ後のことではありません。
今、この記事を読んでいる多くの人が生きている間に起こることであり、私たちの子供や孫にとっては、重大な問題です。私たちが今、真剣に向き合わなければならない課題の1つです。
「人間とは何か?」人間の再定義が行われていく
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“マインドアップローディング”という言葉があります。これは、人間の意識をコンピューターに完全にアップロードすることであり、結果、永遠に生き続けることもできるという哲学すらも生み出しています。
この話を聞くと、映画マトリックスを思い出す人も多いでしょう。人間が意識の中のみで生き続ける社会です。
私もここについて、ずっと思考を巡らせてきたのですが、このマインドアップローディングは、社会の物質主義が行きつき、それが反転し、唯識的な哲学が高度に復活してきている現象だと思っています。心こそが人間の本質であるとする思想が復活してきているのです。
しかし、私自身の考えでは、唯物、唯識の両端に偏っては、人間の存在はあり得ず、それらを統合してこそ、平和な21世紀の人間観というものが生まれてくると感じています。
いずれにせよ「人間とは何なのか?」という議論が活発化し、人間の再定義が行われていく時代が現代なのです。