現実における”身体性”とバーチャルリアリティーの融合の中には様々な可能性が潜んでいます。
ドイツのカイザースラウテルン大学のトーマス・ワグナー教授が行う「VR coaster」というプロジェクトが興味深いです。
一言で言えば、ジェットコースター×バーチャルリアリティーヘッドセット・Oculus Riftで、新感覚の体験を提供しようというもの。ジェットコースターの動きに合わせて作られた仮想空間と、実際のジェットコースターに乗った時の体験が融合することで、そこに新しい価値が生まれます。
左の画像がジェットコースターに乗った時に見る現実世界で、Oculus Riftをつけている際に見える世界は、右側の仮想空間。
シューティングゲームなんかも、超リアリティーを持って楽しめるようです。ジェットコースターに乗っていても、コントローラーによる操作は容易にできるとのこと。
ジェットコースター好き、アトラクション好き、ゲーム好きにはたまらない新たな遊び方が登場するかもしれませんね。
集客に苦労をするテーマパークは多々あるかと思われますが、今後、このようなバーチャルリアリティーと各種アトラクションの掛け合わせの中で、新たな工夫ができるかも。
例えば、有名なアニメのワンシーンをバーチャルリアリティーとアトラクションを掛け合わせ実現するようなアイデアは、どこも考えていけそうですが、影響力のある現実的な施策となる可能性があります。また、このような案は、新たなアトラクションを巨額の投資費用をかけて建築するよりもはるかに安い価格で行えることでしょう。
仮想空間がどんなリアルと結びつくか?
PHOTO: Young woman walking from Shutterstock
バーチャルリアリティーが何かと融合をせずに、バーチャルリアリティーのままで完結すれば、それは安直な”ゲーム”の域を出ない可能性があります。
一方で、バーチャルリアリティーが、身体性と融合し、ハイブリッド型の体験を提供することができれば、そこに大きな価値が生まれる可能性がある。
また、情報空間に意識を置く時間が長くなればなるほど、無意識的にも身体性を求める動きは強まります。走りたくなり、自然を見つめたくなり、パソコンを置いてふと旅に出ようと思ったりもします。
いずれにしても、情報密度が高い社会へと移行が進めば進むほど、身体性への無意識なる欲求は高まる。かといって、懐古主義的に、自然に帰ろう!という文脈だけが強くなるのでなく、主流は、これらの高度な融合となることでしょう。
バーチャルリアリティーが、どんな領域のリアルと結びつくのか?こういったところに注目していきたいところです。