テクノロジーによって計算され尽くした世界が広がっていくと、むしろ「偶発性の価値」が増大する。
ドイツの航空会社ルフトハンザ空港が、どこに行くのか分からないという航空チケット「Lufthansa Surprise」を販売している。
食事、文化観光、自然、パーティー、ショッピングなどカテゴリーを選んで、後はチケットを購入するだけ。購入してみなければ、自分がどこに行くのか分からないというドキドキが1つの価値である。ただ、どこに行くか分からないと言っても、今回は基本ヨーロッパだ。価格は69ドルから。
航空会社としては、売れ残っているチケットを効果的に販売するという意味で合理的であり、購入者にとっては安い価格で、「未知の旅」が体験できるという価値を得ることができる。
情報密度の高いテクノロジー社会は、あらゆるものが想定内、つまり必然性の領域が増していく。結果的に、偶発性が少なくなり、意図しない非線形の学びは起こりにくくなる。よって、むしろ偶発性の価値が増大するのだ。
TSUTAYAが、「敢えて見ないという借り方」と、DVDジャッケットを隠し、キャッチコピーだけでレンタルを促すマーケティングをし、話題を呼んだ。まさに、今までよりも偶発性が価値となる時代を象徴した企画だった。
またリアル店舗である本屋の価値も、思いもよらない書籍との出会いを導く場である。この偶発性によって、本屋はなくてはならない場所であるという再評価が高まっている。偶発性は価値である。私たちがこれから益々大切にするべき視点である。
次世代ビジネス&働き方を一緒に生み出そう
オンラインサロン「Social Design Salon」