先日紹介したAgi氏と話しているうちに「IDEOに友人がいるから、会ってみたら?」とキッカケをくれた。IDEOは世界的なデザインコンサルティング企業で、Appleの初代マウスをデザインし注目を集めた。またデザイン思考を広めたことでも有名である。
彼女が紹介してくれたのはIDEO@ロンドンのシニアインタラクションデザイナーDanile Tauber氏。
MIT Media LabやロンドンのRoyal College of Artなどでデザインを学びその後、デザインコンサルティングのNative、BMWのR&Dや音楽系スタートアップROLIを経てIDEOに参画した。
BMWではユーザーエクスペリエンス&インタラクションデザインを担当し
モジュラー型ミュージックスタジオのROLIでは、ユーザーエクスペリエンスとユーザーインターフェースを調査開発段階からディレクションしている。
また、ロンドンのDESIGN MUSEUMでは「Spirit」と名付けた展示を実施。AIがパーソナルアシスタントになれば、高齢者の社会的つながりはどうなるのかというテーマだ。
Photo by Luke Hayes
出身校のRoyal College of Artでは「未来の犯罪」をテーマにしたワークショップを開催している。
ではさっそく、IDEOそのものについて聞いてみた。
T型人材が豊富なIDEO
ーインタラクションデザイナーということなのですが、あの〜実際はIDEOで何をしているのですか?
Danile氏:いい質問ですね(笑)IDEOが何をやっているかは大体理解していますね?メンバーの多くは2つ以上の専門分野を持っています。ユーザーエクスペリエンスデザイン、プロダクトデザイン、グラフィックデザイン、WEBデザインとかだね。
インタラクションデザインとしては、より身体的でデジタルなモノを扱います。
仕事の多くはコンサルティングプロジェクトですね。もちろんプロジェクトによりますが、細かいところまでデザインするというよりは、クライアントを理解し、彼らの製品は何なのか、どうあるべきなのかという点にフォーカスします。
普通のデザイナーと同じですが、プロジェクトに合わせて、特定のツールを使っています。
ーIDEOに来るまで、 スタートアップからBMWといった大企業まで勤めていたと思うのですが、そういった企業とIDEOの「違い」は何だと思いますか?
Danile氏:そうですね、 確かに他のデザインコンサルティング会社もスタートアップも大企業にもいました。大学院にもいましたね。それぞれ違っていました。
大企業の場合、製品のために働き、たいてい長いスパンで一つの製品の向上をさせたり、その業界の新しい製品を考えたりしますね。もちろんその分、細かい部分まで深く入り込めます。
IDEOは既存の製品を良くするというよりは、クライアントがまだ思いついていない、持っていない製品やサービスを作ります。
クライアントは「こんなプロダクトがあるんだけど、近い将来、何ができるかな?」という感じで来ますね。
期間も短くて3ヶ月から6ヶ月位、年単位もあるけど複数のプロジェクトが同時に走って、圧縮されてるし、上流工程で「より大きな問い」に答えようとしています。
ーその大きな問いって、どうやって見つけるのですか?すごく難しいと思うのですが。
Danile氏:ん〜多くのクライアントは「不確実性がある問題」を持ってきます。将来何が起こるのか、業界が破壊されつつあるけど、どうしたらいいか、新しいテクノロジーを使うべきなのか、それは自分たちにとってどんな意味を持っているのか?とか。
IDEOはデザイン思考を通して人々が何を求めているか?を見つけるのが得意なんです。 なぜ「人」はこのサービスを使うのか、これは好きでこれは嫌いだというインサイトなどが自分たちをインスパイヤしていますね。
そこから新しい製品やサービスを作っています。
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後編では、彼のデザイナーとしての人生やスペキュラティブデザイン、テクノロジーについて語ります。後編はこちらから。
ライター&キュレーター
小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」