環境先進国ドイツでも電気自動車の普及はまだまだ。車自体が高額なのもあるけど、一番は「充電」の心配です。出かけた先で充電スポットがなくて立ち往生なんてゴメンですね。
今回紹介する「ubitricity」はそんな心配をスマートに解決してくれる充電ケーブルを開発。外灯から他社の充電スポットまで使えて、さらには請求も自動でまとめてくれます。
外灯から充電できるスマートケーブル
ケーブルには電気メーターがついており、実際にどれだけ充電されているか見ることができます。さらにSIMが内蔵されているため、使った分の電気代を一括クレジットカード請求にすることも可能。
充電スポットで現金を機械に入れる必要なんてありません。こちらが充電スポット。
自宅に設置した場合、充電した分は自動で返金されます。初期費用(€490程度〜)はかかりますが、計器を必要としないためコンパクトになり、メンテナンス費やランニングコストを削減できたんだとか。
ケーブルはアプリとWEBに連動しており、どれくらい使っているか、充電スポットはどこか、リアルタイムな充電状況まで確認することができます。
ドイツ国内にある他社の充電スポットにも対応しているため、ケーブルをつなぐだけで自動で認証し、充電できる仕様なっています。
ポール型の充電スポットも
実際に充電体験?をさせてもらいましたが、入金の必要がないので、セルフガソリンスタンドより簡単。シンプルにケーブルで充電スポットと車をつなぐだけ。ケーブルは瞬時に認証されて充電が始まっていました。
さて、今回は開発のきっかけや彼らが目指している未来までの話をマーケティングリーダーのAlexa氏に伺いました。
スマホのように充電インフラを持ち運ぶ
ーー開発のきっかけを教えてください。
Alexa氏:創業者の2人は弁護士だったのですが、どうやったら多くの人が電気自動車をもっと快適に使えるのか、そのためには車と再生可能エネルギーをどう組み合わせるべきか考えたのです。
そこでスマホのように持ち運ぶことができれば、より簡単に充電インフラにアクセスすることができると思ったそうです。それでケーブルになったんですね。
ーーなるほど、苦労されたことはなんでしょうか?
Alexa氏:やはりテクノロジー部分ですね。通常、請求がバラバラになってしまうので会社負担の場合、会計部門に白く見られるんですね、そこを弊社では一括請求なので喜ばれているところでもあります。
ロンドンのケースだと政府としては路上で充電してほしい。けれども彼が電気代を払うのはごめんだということで(笑)話があったのですが外灯の柱がドイツより細く、スリム化が必要でした。
ーー現在どれくらいの充電スポットが?
Alexa氏:増え続けていますが、ドイツ国内で数百ヶ所ですね。ロンドンは年内には1000ヶ所を目指しています。余談ですが、ドイツ政府の調べによると自動車を使っている時間は1日の中で平均1時間で平均走行距離は約4キロだそうですよ(笑)キュートですよね。もちろん長距離を走るドライバーもいますよ。
ーー次のステップはなんでしょうか?
Alexa氏:中国など興味を示してくれていますが、欧州を中心に展開をしたいと思います。自国でも、もっと充電中スポットを増やし、もっと電気自動車を増やすことが目標です。充電スポットが増えれば、電気自動車の必要な走行可能距離を短くしバッテリーを小さくすることができるかもしれない。そうすれば相対的に車体価格も下がる。急速充電スポットも同時に必要ですが、もっと多くの人の手の届く範囲になるかもしれないですよね。
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この後、人生で初めて電気自動車に乗りましたが、ものすごく静かで加速もスムーズ。未来の乗り物に乗っているような感覚でした。電気自動車に自動運転と「車の移動」はますます変わっていきそうです。
ライター&キュレーター
小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」