世の中は、どうしても近因が探られる。しかし、近いところの原因、直接的な原因は誰でも分かる。説明もしやすい。今私たちが見つめなければならないことの多くは、遠因である。本当の原因、本因と言ってもいい。遠い遠い距離がどこまで推測できるのか。その力が求められている。
分かりやすくバタフライ効果で説明もできる。蝶が羽を動かすくらいの小さなことが、気候にまで変動を与えてしまうという意味合いだ。ごく小さなことが、生態系を揺るがすような大きな影響を及ぼすことがある。
私たちの日常は、ごく小さな遠因に満ち溢れている。「もう少しそれに早く気づいていれば」と遠因に気づくこともあるかもしれない。しかし、現実は、近因ばかりに目がいき、遠因など推測すらしないということも多い。特に、自分が苦手な領域であれば、なおさらだ。
しかし、あらゆるカテゴリー、レイヤーにおいて、この遠因に目を向けようと精進することで、自身の成熟と知恵の発露が促進される。遠く遠く、その原因を見つめようとすることは、私たちの成長を促してくれる。
また、あらゆるものが緻密に繋がっている時代において、遠く遠く原因を探ろうとすればするほど、それは、自分の問題に近づいてくる。それは最終的には驚くほど切実に私そのものに接近してくる。結果、安易な批判や社会のせいにしている自分が恥ずかしくなる。
遠因を見つめよう。その中に真実の物語と成長が存在していることを信じて。
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