以前、楽しさと創造性をもたらす角度をもって回転する椅子をご紹介したが、何も回転させるものは椅子である必要はない。
「Voltasol」は植木鉢の底を円錐上に加工することで風の力をうまく使い、植物が踊っているように動く。
開発したデザイナーXavier Mora氏にキッカケを伺ったところ「ひまわりの動き」だそうだ。とてもシンプルなデザインではあるが、開発までになんと8年。遊びココロあふれるデザインはスペインの陽気な人柄を映し出しているのだろう。
職人との衝突を乗り越えて完成
Xavier Mora氏は、ひまわりの「太陽を追う動き」を他の植物にも応用できないかと考えていた。
プラスチックで作った初期のプロトタイプでは、底面を球状にし、風を受けると倒れたまま起き上がらなかったらしい。試行錯誤の上、円錐型を採用することに。植物が風を受け流すことでクルクルと回り、倒れない設計になっている。
回転することのメリットは他にもある。研究の結果、植物の光合成の効率をあげていることが判明したのだ。観ている方を楽しませてくれるだけではなく、植物そのものにも良い影響があるわけだ。
カラーサイズ展開も豊富
こんな使い方も。
一番の問題はなんでしたか?と聴いたところ職人の理解という答え。「底を円錐にしてしまえば、植木鉢の耐久性がなくなる」「植木鉢は動かないモノ」という彼らの前提を覆すのに2年かかった。
なんとか説得に成功し、実際に製品が完成してみると、植木鉢自体の耐久性も上がり(めったに風で倒れることがないため)クルクルと回ることで見ていて楽しめるようになった。
日本の盆栽が「静の美」を表しているとすれば、こちらは「動の美」。植物を楽しむためのデザインからも、私たちは多くのインスピレーションを受け取ることができる。
ライター&キュレーター
小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」