私たちにとって重要なことは、細かいことではなくて、より詳しいことだ。
今、世界はどんどん分解されている。細かく細かくなっている。まるで、ビーチの砂のように、粒子は小さく無機質になっているようにさえ感じる。しかし、その分解の領域から何かを見つめたところで、それに”詳しくなっている”とは限らない。
細かくするという行為は、そのものが持っている独自のリッチな関係性を切り離していく行為であり、全体をもって生まれている「意味」さえも解体する作業である。
分解作業の中から、計測できるものだけを取り出し、要素解析を行う。これは言ってしまえば誰もができること、やりやすいことであり、そこに時代が希求する難問解決の糸口は見つけにくいのかもしれない。そこからどんなフィルターを通じて、新たな関係性を見いだし、どういった意味付けをするかという「統合」の大問題が現代における最大級の難問である。
「情報は受信者に依存する」とは、2000年代はじめから嫌と言うほど言われてきたことであるが、それは、このビッグデータ社会においても変わらない。むしろ、その言葉の重みは増すばかりである。
細かくしながらも、詳しくなるには、そこにどうしても総合的な知性が必要となる。もっと言ってしまえば「あらゆる相対的ものごとを瞬間的に最良な関係性に導く」教養、哲学が必要となるのだ。そのことを常に見つめながら、現代のこの細かな経済社会を歩んでいきたい。
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