375mlの小ぶりなワインボトル。これがイタリアで品切れを起こすほど売れている。その秘密は「量」ではない。パッケージデザインを超えたラベルにある。
実はラベル自体がワインの味とマッチさせた「小説」になっている。ワインを楽しみながら小説の世界に浸る新しい楽しみ方を提案しているのだ。
コラボによって生まれたワイン
「Librottiglia」と名づけられたこのワイン。3人の作家が書き下ろした短編小説とデザイン会社Reverse Innovation、ワイナリーのMatteo Correggiaがコラボすることで完成した。
ラベルに使う紙質やパッケージデザイン、ワインの選定からラベルを止める紐までこだわり抜いている。短編小説を読み終わる頃にワインも飲みきれるように計算されたのが375ml(約ワイングラス2杯分)というわけだ。
きっかけはデザイン会社Reverse Innovationの創業者が本とワインが大好きで、この2つの世界を統合できないかと考えたこと。「仕事後の家で過ごすゆったりとした時間に、質の高いワインと小説を」というコンセプト。実は良い作家を見つけるのが大変だったらしく、そこが一番苦労した点だったとか。
2016年のクリスマスでは予想外の反響で売り切れてしまい、現在まで1,000本ほど売れているそう。値段も15ユーロ(約2,000円)でそれほど高価ではなく、プレゼントとして好評。当時はイタリア語のみだったが、今年は小説の種類も増やし、英語版をWEBサイトで販売する予定だ。
残念ながら日本からは購入できない。実際にサンプルのワインを貰ってホテル飲んだのだが、僕が気に入ったのは「ボトルの重さ」手にしっくりくる感じが、いつもの紙の本を読んでいる体験とは違うモノを感じさせてくれた。
ライター&キュレーター
小檜山 諒 フリーランスライター&キュレーター
世界中の面白いアイディアを集めたブログを運営中。「問いが変われば、答えも変わる」を信じて、アイディア発想など研究しています。ハッとさせられるようなアイディアが大好物。アイディアデザインコンサルタント。モットーは「LESS IS MORE」