原宿に新しいものづくり系オープンプラットフォームの誕生です。
スタイリッシュなデザイン家電ブランドの元祖「amadana(アマダナ)」さんが、「amidus(アミダス)」という新しい取り組みを始められたので、その情報発信拠点であるamidus HARAJUKUに行って参りました。
私も知らなかったのですが、amadanaさんって10年以上前からある日本のメイカーの先がけだったんですね…。
amidusHARAJUKUの空間は超洗練されていました〜。
これまでにないイノベーティブな商品、サービスの開発のための、課題、テーマをクリエイターやメイカーに開放、共有。それを解決、開発されるプロセスをオープンにし、新しいスマートプロダクト、スマートサービスを共創の力で編み出すという取り組みです。
例えば、インテリアと家電を融合させて生活空間を再定義するプロジェクト。こちらの写真にあるシステムユニット(試作)は、家電を交換可能な家具の「部品」の一つにしてしまう”電気が通ったインテリア”。
フレームに電気が通っているからこそそれぞれのグリッドに、自由に電化製品を入れ替えていくことができます。更に、それにあわせてクリエイターやメイカーが自身の電化製品を開発していくという拡がりも視野に入れているとのこと。素晴らしい。
ちなみに、amidus HARAJUKUの空間はその試作品第一号で構成されています。
セカンドプロジェクトは、クラウドファンディングを活用したEV改造プロジェクト。車を”巨大バッテリー”と捉えEVの可能性を引き出しながら新しい楽しみ方を創造するプロジェクト。車好きのみならずワクワクしますね。
今後も新しいコンセプトのヘッドフォン、バッテリーなど興味深いプロジェクトが次々と立ち上がる予定。
課題を提供してくれる会社は、日本を代表するような大企業も参加。なぜ、このようなことができるかというと、amadanaで培ったクリエイティビティへの評価があるからこそ、企業からの様々な相談をいただけるようです。
それを、amadanaが全て請負うのではなく、オープンな開発プラットフォームにしていこうというのがこのamidusの取り組み。
お話を伺う中で印象的だったのは「クリエイターが活躍する場が、日本には圧倒的に少ないですよね」という言葉。確かに納得。
日本のトップクリエイターたちもコンセプトに賛同し、現在のプロジェクトを盛り上げているようです。
最終的には、このamidusの生態系から多数のクリエイター・メイカーが羽ばたいていき、Appleのようなブランドが登場してくることを願っているとのことでした。
更に興味のある人はamidus HARAJUKUで行われイベントの動画からご確認ください。
各地域にリアルなオープン開発プラットフォームを
photo credit: josemanuelerre via photopin cc
日本のメイカーの先駆けamadanaが、本格到来したメイカーズ時代にどういう手を打っていくのか?という点からも注目です。
例えば、ものづくりの共創のプラットフォームである米国のQuirkyは、最初に多くの大衆を巻き込むカタチで”日用雑貨”を中心に製品開発を進めていきました。そして、大企業であるGEと組むという流れでした。
【参考】
・クラウドソーシングとデジタルファブリケーションによって発明を再発明したQuirky
しかし、amidusに関してはamadanaという家電ブランドを運営している背景があり、大企業とのコネクトも最初からある状態。結果、最初に一般の人を巻き込むことよりも、クリエイター・メイカーなどとの連携を密にして、最初から高付加価値の革新的な製品、サービスの開発に取り組んでいくという流れです。
プロジェクトの大きさを考えても、これはクリエイターやメイカーが1人、2人で取り組める規模ではないので、それがオープンにされるということは多くの人にとっての学びの場であり、自身の力試しの場ともなるのでしょう。
また、こだわっているな〜と感じたところは、「革新的な体験価値」を徹底的に追求していくという姿勢であり、その製品自体をオープンプラットフォームと捉えていく点です。
つまり、先ほどご紹介したシステムユニットは、家電とインテリアを融合させる製品であると同時に、そこに何を置くか、どう利用するかは自分次第。製品自体もオープンなプロダクトであることに非常にこだわっておられました。
更に私が感じたことは、こういった企業とメイカー、クリエイター、ユーザーなどをつなげるオープン開発プラットフォームは、各地域にリアルの場として存在するといいのだろうということ。地域活性化を考える団体やNPOが、地域の企業から案件を持ってきて、amidusのような役割を担うということです。ピンと来る方は、一考の価値ありますよ。
日本のファブレスメーカーの先駆け的存在のamadanaが、新たに提案するamidusで、次の一手をどのように取り組んでいくのかは注目です。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
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現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
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※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」