これはすごい。アイデアをクラウドソーシングや3Dプリンタなどを使って製品化し、販売までするサイトQuirky。
Can A Crowdsourcing Invention Company Become ‘The Best Retailer In The World?’
アイデアのある人は、140字以内でアイデアの説明を書き、そのアイデアの分野を選択し、解決したい問題、その製品で問題をどのように解決できるかなどを書きます。すると、Quirky内に次のように投稿されます。
投稿したアイデアに対して、Quirky内のコミュニティーからフィードバックをもらうことができます。ちなみに、これには10ドルの費用がかかります。コミュニティーメンバーはvote(投票)ボタンで支持を表明したり、コメントを書くことができます。
例えば、次のような商品アイデアが掲載されていました。自転車のスピードや進んだ距離、使ったカロリーなどをスマホに送信してくれるガジェット。うん、面白い…。
見事に、コミュニティーから高い評価を受けたものは、Quirky社員による厳正な審査が行われます。その審査に通過すると、Ustreamを使ったquirkyliveで審査の模様が生放送され、更に視聴者の評価をもらう仕組みになっています。
そこで商品化が決定したら、まずはテスト販売。そのテスト販売で予想した売上がたたない場合は販売中止。売上げが上がった場合は、正式な発売となります。
こちらは、切った食物を、綺麗に分けておくことができるまな板。これ、いいかも。
こちらは、果物にさすだけで、100%果汁をスプレーできるグッズ。すごい…。
正式に発売された製品は、利益の30%がコミュニティに分配される仕組みになっています。その30%のうちの42%が、最初のアイデアを投稿した人に支払われます。また、投票によって支持を表明した人やコメント掲載した人達にもこの利益が分配されるのです。すごい!
更に興味深いのは、製品化された商品のパッケージに、発案者の顔写真や物語、製品の誕生までに力を貸したメンバー全員の名前が掲載されるところ。まさに皆で作った製品!ですね。
日本版Quirkyの可能性
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これは、まさにクラウドソーシングやデジタルファブリケーション時代の「発明プロセスの再発明」と言えるでしょう。
また、現在日本にはQuirkyのようなサービスはありませんが、日本版Quirkyは、立ち上げやすい可能性があります。
Quirkyは2009年に立ち上がっており、従業員も比較的多く、海外との連携も強いようです。一方日本の場合、少量生産が得意な国内の町工場と密接に連携を取りながら、必要なところは、発展著しいクラウドソーシングを利用していく。
そのようにすると、日本版Quirkyはよりスマートなモデルとして構築できる可能性があるわけです。
また、日本の家電メーカーなども大いに参考にできるプロセスではないかと思います。大企業の最大の長所である研究開発部門と、クラウドソーシングプラットフォームが組み合わされば、まさに21世紀型の新しい商品開発のプロセスが誕生することでしょう。
ただ当然、現在の大企業でこれを実現するためには、数限りないしがらみが存在します。またもっと言えば、文化的に相容れないことでしょう。しかし、日本の家電メーカーも、もうこれくらい思い切った手を打つ必要のある時期に突入していると私は思います。
これは中長期的に見るならば、「個人のための企業へ」、「個人やチームのためのプラットフォームたる企業へ」という21世紀の大きな流れを捉えきれるかどうかという話なのだろうと思っています。