平均的なイギリスのインターネットユーザーは、年間87時間(約3.6日)オンラインショッピングに費やしているようです。
それがどうしたの?ということですが、「この時間を”クラウドソーシング”で削減しますよ!しかも無料で!」というサービスが登場。その名も「BuyHandPicked」
使い方は簡単。製品などのリクエストタイトルと詳細、また予算を書き込むだけ。
登録メンバーが、その要望に合わせた製品を続々と提案してくれるという仕組みです。
こう言うと、「価格ドットコムみたいなサイトがあるんじゃないの?」と思われる人がいるでしょう。
BuyHandPickedの特徴は、お店で店員が細かな相談にのってくれるといった極めてプライベートなサポートをクラウドソーシングで実現しようという点です。
例えば、テレビが欲しいという要望があったとしましょう。「そのような用途で使うとしたら、予算より若干高いですが、このテレビがおススメですよ」などと提案をしてくれます。
通常、リアル店舗が現場でやっているようなことを、クラウドソーシングを利用し、更に高度にネット上で行おうという取り組みですね。
利用者は完全無料で利用できるわけですが、製品を提案する登録メンバーにはコミッションフィーが支払われ、更にこのサイト内での評価ポイントを獲得できます。
個別対応して、アフェリエイトフィーを得るようなイメージなのでしょう。新時代のクラウドソーシング型アフェリエイト!?と言えるのかもしれません。
テクノロジーの進化によって”社会性”に光が当たる
photo credit: Wavy1 via photopin cc
今、私たちの仕事は”利害損得”という基準ではかることのできる分かりやすい「貨幣価値」に換算されなければなりません。それによって、給料が支払われるわけですから当然です。
それ以外のことをやろうと思っても、それはボランティアか趣味となり、一般的には仕事と認められません。
しかし、例えば2020年代に、本当に人間に近い人工知能やロボットが登場し、本格的に人間の仕事を高度に代替するようなことがあれば、どうでしょう。
人類は、これまでの分かりやすい貨幣価値に換算されるものを仕事にするだけではいられなくなると思っています。現時点でも、例えば金融商品などを取引する世界では、ロボットディールなどが当たり前のように利用されています。
それが極限的に行き着き、大転換が進む中で再び脚光を浴びるようになるのが、善悪で判断されるような”社会的価値”です。
ロボット社会における貧困の撲滅、つまり最低限の生活を守るための貨幣は配分されるようなシステムが導入され、結果、「仕事」は益々「志事」として、社会性により評価される時代になるとの予測も立てられるわけです。
昨今における社会起業家やソーシャル・ビジネスのトレンドはまだまだ序の口です。
つまりテクノロジーの急進が、文化的、文明的なより良い進化をあと押しすると私は考えています。というよりも、そうならねばならぬということでしょう。
その文脈から捉えなおせば、今回紹介したようなクラウドソーシングは、「こんなこと仕事にならないよね…」と流すにはもったいなく、実は2020年代以降のパラレルキャリアを支えるインフラになる可能性さえあるように見えるわけです。いずれにしても注目すべき潮流です。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」