オープンイノベーション、オープンソース、オープンデザイン…。「オープン」という概念は、ビジネスモデルというよりも思想であり、ビジネスを新しい次元へと導きます。
ご紹介するのは、スタイリッシュな家具のオープンプラットフォーム「OpenDesk」。
デザイナーやクリエイターが製作した家具のデジタルデータを無料でダウンロードでき、自分で作ることはもちろん、製材、または組み立て用にフラットパック、もしくは完全に組み立てられた製品を購入することができる仕組みとなっています。
このようにたくさんのデザイナーが自身のインテリアを披露しています。ちなみに、製品が販売された時のロイヤリティーやライセンス詳細に関しては自分で決めることができます。
またCNCマシンなどを持ったOpenDeskの製品を作ることのできる事業者がリストアップされており、自分の住んでいるところの近くから部品を買うこともできます。組み立てられた製品を遠くから運ぶのは、環境にも悪いし、何しろかっこ悪い!そんな文化が広がっていきそう。
会社は完全に組み立てられた製品を購入する傾向があり、個人やNPOは自分たちで組み立てられるフラットパックで購入する人が多いとのこと。
デジタルデータを無料で提供するまさにモノを絡めたフリーミアムモデル。今後、こういったプラットフォームは広がっていきそうです。
企業は、個人やチームに力を与えるインフラへ
photo credit: jinkazamah via photopin cc
今、企業が最も注意すべき点は、無数に生まれる個人やチームを意識していかなければならないということです。
例えば、これまで「家具」という1つのカテゴリー内に同じような企業の競合がいました。例えば、ニトリであればIKEAでしょう。しかし、今や業界を超え、例えば大手小売業者が自ら家具をデザインし販売しています。
それでも、”企業”の競合は”企業”でした。
しかし、これからはちょっと違います。
OpenDeskの例からも分かるでしょうが、企業は無数に出現するデザイナー、クリエイター、メイカーなどの個人、またチームが一番の競合であると認識せざるおえなくなるでしょう。
そこで私が伝えたいことは、企業はこの無数の個人を敵にまわすようなモデルでは存続しにくいということです。より良い手段はこの無数に生まれる個人やチームに更なる力を与えるインフラとなっていくという選択肢が賢い方法なのです。
例えば、IKEAやニトリ、地域のホームセンターは、「OpenDesk」の家具を作ることのできる場所となる方が良いでしょう。
もっと言えば、いつもオープンデザインの家具を買う人ばかりではないでしょうから、IKEAやニトリは、人々の”最低限”の住生活を支援するインフラという認識も同時にされていくはずです。
時代は、益々加速的に変化しています。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」