単品のモノ売りは時代遅れ?
所有ではなく、使用。
物質ではなく、体験。
単品はなく、システム。
単体の商品を扱う商売は、それだけでなんとなく時代遅れな印象になりがちな時代です。
たとえばマーケティングでは「ドリルではなく穴を売れ」というようなアドバイスがよく聞かれますし、『物を売るバカ』というタイトルの本が注目を集めています(いい本です!)し、Social Design Newsの記事で取り上げるトピックも、サービス経済、経験経済の文脈で誕生するものが多いです。
しかし、”モノを届ける”アイデアについても、新しい試みはあちらこちらで行われています。
デジタル配信の隆盛により、業界構造が大きく変わっている音楽・出版の例をいくつか紹介しましょう。
名著に新しい命を吹き込むブックデザイン
アールデコ風に美しくリ・デザインされたこれらの本は、『華麗なるギャッツビー』などで有名なフィッツジェラルドの作品。没後70年を記念して出版されたものです。
読むときの手触りももちろん素敵でしょうが、部屋を飾るインテリアとしての素晴らしさが際立ちますね。
参考:F Scott Fitzgerald anniversary editions(creative review)
デジタルデータをモノとして配達
こちらの頭蓋骨は、実は、USBスティックの容れ物です。アメリカのロックバンド、Flaming Lipsが、楽曲の入ったUSBをグミでできた頭蓋骨に入れた状態で販売しています。
参考:new flaming lips songs from the usb drives buried inside those gummi skulls
一回しか聴けない、氷でできたレコード
スウェーデンのバンド、Shout Out Loudsは彼らの人気曲 “Blue Ice”を、その名にちなんで氷でできたレコードにしました。シリコン製の型が届いたら、水を入れ、自分の家の冷凍庫で氷のレコードをつくります。
こちらで音も聴けます。
パッケージ + すごいデザイン = イノベーション
パッケージデザインというと、小手先のテクニックだと思われがちですが、ここまでやると、それが包むモノ自体の価値を大きく超える、新しい商品を生み出す力を持ちうるのですね。
「サービス化とか言われても、結局モノを売るしかできないしな……」と困っている人も多いと思いますが、
イノベーションと呼べるほどのインパクトを、商品のパッケージから生み出せないか?
こんな問題に取り込んでみると、まったく新しいビジネスが生まれるかもしれません。