何が問題なのか、そもそも分からない…。
それが現代のビジネス社会の苦痛の根源である。これまでの計測可能な戦略思考の中で、それを突きつめようとするが、そのプロセスでは、もはや糸口さえ見つけられないほど、企業を取り巻く環境は複雑になりつつある。
よって、次元を、1つ2つ上げ、現実と自由自在に行き来ができないと、直面している本当の問題を把握することはできないし、そこに新しい意味を見つけ、新たな機会に挑戦していくことは不可能だ。
では、その具体的プロセスはどうなるのか?そこを書籍「なぜデータ主義は失敗するのか?:人文科学的思考のすすめ」 は教えてくれる。
センスメイキング、つまり、意味の生成は、これからの最重要なテーマとなる。ロボットにはできない、人間的な能力の1つであり「仕事の未来」を語る時、この要素は抜いては考えることはできない。
これを人文科学的な手法、現象学的なアプローチから見いだしていくプロセスを解説。実際にその流れを、レゴやインテルやアディダスの事例で、私たちにイメージさせてくれる。
ビジネスは、どうしても量的側面から計られがちだ。しかし、今大切になってきているのは、人間を見つめ、体験を質的に把握し、そこから事業にインパクトを与える洞察を導くことである。
数字に出るところは、全体の一部にすぎない。それよりも抽象度が高いところは、体験的感覚として把握し、意味を生成。共有可能な概念として言語化する中で、やっと具体的な解決策を導き出せるのだ。
そのことをこちらの書籍は気付かせてくれる。訳も素晴らしい。とにかく名著であるので、興味のある方は、是非手にとっていただきたい。