「生物は、良い環境であれば繁栄はする。しかし、進化はしない。一方で苦境は、生物の進化を生み出す」
今、私たちが直面している不安感を少し掘ってみると、「役割変更」による対応への不安がある。つまり、自分では思ってもみなかったような役割を、突然求められる場合だ。
テクノロジーの進化と普及、またそれに伴う社会の変化により、役割への柔軟な対応は、よりシビアに求められ始めている。まだ、自分に降りかかってきてはいないものの、今社会を歩む人達は、薄々その激動のキャリアの未来を感じている。
長い人生。思い通りにいくことばかりではない。どんなに悪くない状態が続いていても、それがずっと続くわけではない。辛い状況は必ず訪れる。その時に求められることが、往々にして「役割の変更」であることが少なくない。
その役割を目前にした時、多くの人は四苦八苦する。自分がやりたくないことだったり、不得意なことを急にやらなければならなくなることがあるからだ。しかし、ここへの柔軟性が今、益々モノをいうようになっている。
好きなことだけをやれ!得意なことだけをやれ!これも一面の真実だ。しかし、ここに固執する危険性を、多くの先人は教えてくれている。
いたくない場所で咲こうとする努力の中で、また、一見無駄に見えることと取っ組み合う中で、人は想像だにしなかった異次元の進化を手にしていく。しかもそこで手にした成長は、時間がたつほどに光り輝く「何か」であることが多い。
繁栄することもいいだろう。しかし、どこかでその人生の繁栄は、進化のフェーズに突入するものだ。その時に、求められることは、「役割」への執着を柔軟に手放すこと。それを誰もが肝に銘じるべき時代である。