これは欲しい!生の緑色のコーヒー豆から、ボタンをたった一回押すだけで新鮮なブラックコーヒーを作ることができるコーヒーマシンが、クラウドファンディングサイトKickstarterで注目を集めています。
World’s first roast-grind-brew coffee machine
13万5,000ドル(約1,350万円)の資金調達目標でしたが、残り24日を残しながら224,000ドル(約2240万円)を超えるお金が集まっています。気になるコーヒーマシンの価格はというと、250ドル(2万5,000円)から!安い!
製品デザインは、クラウドソーシングで募集し、完成させているところがまたクール。
利用シーンはこちら。コーヒー豆が見事に焙煎され、挽かれていきます。
そして、こちらの凄いところは、単純にコーヒーマシンを売るだけでなく、コーヒーの流通革命を起こそうとしているところ。
コーヒーはこれまで、私たち消費者に届くまでに多くのステップが必要でした。それは、次のようなものです。
コーヒー農家が作ったコーヒー豆を、コーヒーの協同組合を通し政府に申請します。そこを通過したコーヒー豆は、輸出業者が運ぶわけですが、そこにはリスクヘッジのための金融会社も関わります。
輸出されたコーヒーは倉庫に保管をされ、やっとその国のコーヒー会社へと入ります。そこから更に工場に入り、生のコーヒー豆をローストし、挽いて商品としてパッケージング。その商品がコーヒー販売の総合代理店へと運ばれます。
そこから小売店に入り、やっとコーヒーを飲む顧客のもとへと届くわけです。その間なんと6ヶ月という長〜い時間。
生のコーヒー豆を直接顧客につなごうとする、なんともイノベーティブな取り組み。
当然ですが、中間業者が少なくなる分、農家さんにもより多くのお金を受け取ってもらえます。これが実現すれば、コーヒー業界の大きなイノベーションとなりそう。注目です。
第三次産業革命におけるビジネスモデルについて
photo credit: andyi via photopin cc
このモデルは、重要な示唆を与えてくれます。それは、新しいモノづくりにおけるビジネスモデル構築についてです。
この会社のビジネスモデルはおそらく、コーヒーマシン自体をなるべく安く広く流通させることによって、生のコーヒー豆の継続販売することによって、利益をあげるというものです。
今後はコーヒー農家さん、そして消費者のコミュニティーを積極的に作っていこうとしているところにもその意図が見てとれます。ここは非常に示唆に富みます。
第三次産業革命の真っただ中にいる私たちは、新しいモノづくりの可能性を日々目にしています。いつも取り上げるKickstarterなどを見るとその溢れる可能性に目を見張ります。
しかし、そこにあるモノづくりの多くは、これまでと同じように「その商品を販売して利益を得る」という方法です。これが決して悪いわけではありませんが、これは1つの方法でしかないことを理解しておく必要があります。
例えばAmazonの例を考えてみましょう。Amazonは、電子書籍リーダーKindleを販売しているわけですが、その価格は非常に安価です。その理由は、Amazonで販売される電子書籍が多く販売されれば良いというビジネスモデルであるからです。
まさに、このコーヒーマシンも同じモデル。できる限り大きく広げて、農家さんが作った生のコーヒー豆を継続的に売って行けたらそれが最も安定します。
これからはクラウドファンディングにて資金調達したところが、どのようなビジネスモデルを考えているのかというところまで注目していきましょう。
【Social Design Newsから本が出ました】
ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」