初めまして。清原です。
この度、ご縁あってこの“Social Design News”に寄稿をさせていただいていること、本当にうれしく思います。
これからよろしくお願いします。
まずは簡単に自己紹介をさせてください。都内在住の41才、二児の男子の父、夫。引越し歴15回(海外を含む)、転職歴8回(独立を含む)。
仕事は、プロのコーチです。ビジネスマン(経営者から若手)が、自分の仕事で成果を挙げるため、色々な手法を試したり考えたりするためのお手伝いをしています。多様な業種・業態で積んできた経験が、この仕事で活かされている気がします。
さて、私が今関わっている「仕事」というのは、じつはこれひとつだけではありません。
コーチ以外に、2つのコミュニティを運営しています。
1つめ:小中学生を対象にした、本場の仕事体験を斡旋するプラットフォーム「Linctanc」
2つめ:30~40代の経営者やビジネスマンを対象にした、個の価値を具現化するための相互支援のプラットフォーム「神楽坂対話集会」
1つめのコミュニティは収益組織としておよそ1年前から、2つめは非営利組織としておよそ2年前から始まったものです。副業、というと少しニュアンスが違うのですが、いわゆる「社会活動」と言うにふさわしく、でも、しっかり収益も考えてのものです。
それぞれのコミュニティにいるメンバーの人たちを相互に交流させるイベントをやったり、いくつかのプロジェクトをさらにコミュニティから派生させたり、と活動の形態は増えるばかりです。
私がこうした活動体を立ち上げた理由というのは、正直うまく言えません。
ただ、これは完全にあとづけの理由になるのですが、一言でいうと、「社会的意義の追求」から自然発生的にそうなった、ということになるかもしれません。
もちろん、立ち上げようとした当初は、ただなんとなく抱いていた「仕事ってそもそも何だろう」「豊かさってそもそも何だろう」という、実にシンプルな疑問に、正面から向き合ってみたかっただけなのです。
ここで、今の私を支えてくれているひとつの考え方『ポジティブ心理学』という学問について、簡単に触れさせてください。1998年、当時、米国心理学会会長のマーティン・セリグマン教授が提唱したもので、一言でいうと、「人が最大限に力を発揮するための科学的研究」です。
最近はNHK『白熱教室』で話題になった「幸福論」をご覧になった方も多いと思いますが、こうしたテーマの強力な後ろ盾になっている、比較的新しい分野の心理学です。
この『ポジティブ心理学』によれば、人は「仕事」について3つのいずれかの捉え方をしながら働いている、と言われています。つまり、「何のために仕事をしているの?」というと、それは....
“JOB“
“CARRIER“
“CALLING“
のいずれかのため、というものです。
“JOB“は、労働。「お金を得るために働く」。
“CARRIER“は、経歴。「よりたくさんのお金、より恵まれた環境を得るために働く」
“CALLING“は、天職。「社会的意義を感じると同時に、幸福感を得ながら働く」
これらの中で、最も「幸福度」を高く感じるのは、CALLINGとのことです。私にはこの考えが妙に腹落ちしています。上から順に、まるで時代の価値観の変遷を見ているような気がしますね。
今思えば、私が幾度の転職や独立をしたり、さらにこうして2つのコミュニティを立ち上げたりしたのは、結局のところ“CALLING“を感じたからだったのでしょう。
なんとなく、でも確かな思いを仲間たちと語り合うことで“CALLING“が表出したのですね。そこに気づいてしまったら、やらないわけにはいかなかったんです。
誰かのためとか、お金のためとか、名誉のため、とかいうのではなく、もっとプリミティブな、「やらずにはいられなかった」という理由がぴったりかなと。
もちろん活動や運営は、僕ひとりでやっていけるわけではなく、そんな「なんとなく」の思いに共感してくれた仲間がグイグイと形作ってくれたものだったのです。
パラレルキャリア実践のための3つの秘訣
最後に、キャリアをパラレルに実践するために、私が必要だと思っているポイントを整理させてください。それは3つです。
①はじめから稼ごうとしない
②迷うならやらない
③人に期待しない
どういうことか、簡単に説明します。
①はじめから稼ごうとしない
そもそもすぐにもっと稼ぎたいのなら、今の仕事の効率を挙げることに集中すべきです。その方が早い。
私は、「意義がいずれ収益を生む」と確信しています。つまり、「意義が使命を生み、使命が共感を生み、共感が価値を生み、価値が収益を生む」。これは私が最近気づいた真理です。つまり、稼ぐまでには時間が必要なのです。私ものんびりやっています。
②迷うならやらない
“CALLING“に気づいた人は、「気づいたらそれをやっていた」「頼まれもしないのにやっていた」人です。そこに迷いが入り込む余地を持ちません。迷ったらやらないでください。ただでさえ忙しい人なら、あとあと面倒が増すだけです。
当たり前と言われていることに関して、常に疑問を持ち続けてください。「?」という違和感から目をそらさないでください。「気づいたらのめり込んでいること」があるはずです。
③人に期待しない
気づいた人が動くのです。共感させようとする必要も、責任を分け合う必要もありません。気づいたなら、体が動いているのです。見返りにさえ、頭が行きません。やっている、そのことだけで幸福なのです。
人に期待する自分に気づいたなら、いったん振り出しに戻って「なんでこれをやってるんだっけ?」と自問してみてください。
以上が、私の考えるパラレルキャリアを実践するポイントだと思っています。
コミュニティというのは、結果としてひとつの形ですが、私の周りでも沢山の人が、“CALLING“によって色んなアウトプットを出しています。
それは、本の出版であったり、芸術作品であったり、起業であったり。。。いや、もっと身近な例で言えば、子育ての素晴らしさに気づいたり、今の自分の仕事の意義に気づいたり、とか。そんな人たちが着実に増えている気がします。
私も最近、周りの人たちが戸惑うほどの価値観の転換を迎えました。「小さな幸福」に目が行くようになってきました。豊かに働くことの意味をずっと考えるようになりました。そして“CALLING“らしきものに出会いました。
皆さんはどうですか。
Author Profile
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BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ
Linctanc Ltd, Co-founder
神楽坂対話集会 主幹事
清原 豪士(きよはら つよし) -
1972年、岐阜県高山市に生まれる。関西外国語大学在学中、マドリード、ロンドンで語学を学び、卒業後は外資系商社、大手金融をはじめ、起業や個人事業など、多様な業種業態での働き方を経験。
主に30~40代の経営者やビジネスマンに向けて、ビジネス、教育、働き方をテーマに、セミナーや講演、コーチングを年間約250セッション行っている。キャリアアップや転職、起業、家族との関わり方など、強烈なインスピレーションと成果が得られると評価が高い。 また、これらひとつひとつのテーマを深く掘り下げ、個々のバリューの明確化と相互支援を行なうワークショップ「神楽坂対話集会」を主催、定期開催している。
また現在、小中学生に向けて、職業体験の斡旋をするプラットフォーム「Linctanc」を共同で立ち上げており、「リアルな体験」を通し、将来の職業選択の可能性を提供すべく活動をおこなっている。