なんともインスピレーションを沸き立たせてくれるプロジェクト。
こちらは、フランス発の雲の流れとその形状に合わせてピアノを弾く「Cloud Piano」。屋根の上のカメラとセンサーがリアルタイムで上空の空の映像を撮影。
それに合わせてこのように鍵盤が叩かれていきます。配線がごちゃごちゃしているのはご愛嬌。
もちろん、ただバラバラに叩かれていくのではなく、その自然のランダムな動きをサポートするアルゴリズムを通じて、音楽となっています。
なんと言うか…本当に流れる雲がイメージされるような音になっているような気がして、驚きです。是非、こちらからお聴きください。
cloud piano from david bowen on Vimeo.
個性を超えて、普遍へ挑戦する
小林秀雄氏が、その昔、「私が作品を評価する基準は、作者がその作品と戯れているか、それとも、自身の個性と戦い、普遍に近づこうとしているかで決める」と言っていたことを思い出します。
つまり、アーティストやクリエイターは、自身の個性を表現し、好きなことを行うなんてことはとんでもない。むしろ、そんな小さなものは超えて、一つの法則性や真理へと挑戦をすることが大切だ、ということを彼は伝えていました。
これは、アートやクリエイティブの領域だけではなく、事業においても言えることだと思うわけです。「好きなことをやる」ということが重要なことのように言われていますが、ただそれだけであれば、単なる個性の表現であり、それを仕事にすることは難しい。
事業における普遍とは、お客様に喜んでもらうこと。それは、自分が好きなだとか、嫌いだとかを超えてのことでしょう。それを軽視し、好きなことをやればいい、という価値観は、大いにつまづく原因となります。
好きなことは、言ってみればきっかけ、入り口に過ぎません。そこからの挑戦は、本気でやればやるほど苦しいものでしょう。もちろん苦楽は共にあるとも言えるわけですが。
今回ご紹介した、Cloud Pianoのようなコンセプトが、雲の流れを普遍の音に近いのかどうかは全く別の話ですが、少なくとも、私たちは、個性を超えて、何かの普遍へと挑戦をしていく必要があると感じる今日このごろです。