上記のデータは日本のGDPの歴史的推移と、世界の主要国の平均値
の比較グラフです。とても興味深いグラフですね。
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2.日本の歴史的推移
日本の所得水準は紀元前後には400ドルであったのが、江戸時代には
500ドル台に達している。20世紀に入って1000ドルを越え、1940年に
2,800ドルとなったが、戦後の混乱の中で1950年には再度2000ドル以下
となった。この後、経済の高度成長で一貫して成長が続き2000年には
2万ドルを超過している(下記の付表参照)。
世界倍率を見ると、1950年まではほぼ世界水準と同水準で推移した点が
目立っている(1940年は背伸びして世界の5割増となっている)。
日本の社会経済の発展はそれなりに進んでいたが、世界的にも同様な
発展があったとするわけである。
その後は、高い経済成長の中で1990年には世界の3.6倍の所得水準に達した。
興味深いのは1990~2008年の動きである。この間、対世界倍率はむしろ
低下した。「失われた10年」を含むこの時期には途上国を含む世界全体
の経済発展が日本を追い越していたのである。
引用元: 図録▽1人当たりGDPの歴史的推移(日本と主要国).
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上記のようなグラフを見て思うことは、単純に失われた10年、20年という
ものではなく、新たな時代の転換点において、日本は必要な経験をしている
のでは、ないかと思うのです。
GDP指標の転換期
photo credit: Matthew Fang via photo pin cc
世界の年収はすごいスピードで平均化していきます。
Appleが多くの労働者を中国で抱えているように、国際的な労働市場の
流動化は益々加速します。
そして、テクノロジーによって、人間の仕事ももどんどん代替されて
いきます。またiTune Uなどのサービスが普及し、今や世界最高の教育環境
はネット上に無料に存在するような状況です。
これは、人類が求めている方向性です。日本人だけが極端に物質的に
豊かな生活をし続けるというのは、当然無理ということです。
また、特に若者世代は、むしろ「日本人」という認識よりも「世界人」
「地球人」という 認識を持っている人たちが多く、私たち日本だけが
豊かに暮らすということに疑問を持つ人たちも多いのです。
「国益のために、私たちの国から大きな産業を作りだせ!」
というかけ声に、「???」と思う人たちが増えているということです。
もちろん、産業の勃興へむけての努力も当然必要ですが、それだけ
ではない、ということに気付いた方々が既に多くいらっしゃると
いうことですね。
これからGDPも新たに定義されなおされる可能性があります。エネルギ
ーや水などの天然資源、そして生態系そのもの、また人材や社会的的
資源などもなんらかの形でGDPの中にいれられる可能性があります。
そして、GNH(国民総幸福量)などの指標が世界的にも重用視されて
くる時代になってくるでしょう。これらの変化は決して絶望の未来では
なく希望の未来への序章だと感じています。
キリスト教が支配していた中世から、科学における近代へと時代が変わる時、
当時生きる人々はそれはそれは、 大変だったことでしょう。価値観から
ライフスタイルまで劇的に変わってしまったのですから。
今の転換期もそれに匹敵するものであり、というよりもそれ以上の大変化
がこれから起こってくると感じていますが、それは決してネガティブな
ことではなく、大きな希望の芽もたくさん見つけられます。