科学とエンターテイメント。それは出会うべくして出会い、求められるべくして求められていく。
「人間とはそもそも何なのか」
それは、純文学で取り上げられるような人間の現実的表層とその深層心理といったものよりも更に一歩深いところから、問われることになる。
ロボット社会の本格到来と共に、この問いから派生しゆく数々のテーマが、彩りも豊かに社会で取り上げられる時代が訪れた。
アニメやゲームの科学者による解説本が人気という背景にも、最も底流にはその問いが宿る。
さて、この夏公開のディズニー/ピクサー最新作「インサイド・ヘッド」が興味深い。
人間の5つの感情「ジョイ〈喜び〉、アンガー<怒り>、ディスガスト<嫌悪>、フィアー<恐れ>、そしてサッドネス<悲しみ>」が主人公である。
人間が想像できるSFの範疇は、20世紀中に語られ尽くしてきた感もある。しかし、SFとして語られてきた社会が現実として訪れ、それが、現代の文脈の中で、新しいSFのトレンドとして花開く。
その背景には、数千年来問われてきた人間とは何か?という難題を新たに立て直し、科学的背景を持ったストーリー、時にエンターテイメントとしてそれを取り扱うような人類の挑戦がある。
これは、現代が生み出す神話創造の1つのスタイルなのかもしれない。
映画製作には、7、8年の歳月をかけているようで、ジブリの鈴木敏夫氏も注目をしている。「インサイド・ヘッド」今から観るのが楽しみな作品だ。予告動画はこちらから。