ついに世界のメディアでも大きく取り上げられ始めている人工合成クモの糸。
それを作る会社「Spiber」は、山形県鶴岡市に本拠地を置く。その変わった名前は、クモ×ファイバー(繊維)からきている。
クモの糸はタンパク質でできた繊維で、驚くべきことに、鉄鋼を越える強度とナイロンを越える伸縮性を持つ。
この繊維を量産することができれば、石油を使った繊維素材の利用を少なくし、即環境保護へとつなげていける。
では、Spiberは、どのようにこのクモの糸をつくり出しているかというと、”微生物にクモの糸を生み出す遺伝子を組み込む”という方法を利用している。いわゆる、微生物が大量にクモの糸を作り出し、それを培養していくわけだ。
微生物と聞くと、ミドリムシのことを思いつく人も多いかもしれない。ユーグレナはミドリムシそのものを使い、食品やエネルギーに新たな風を送り込んでいるが、Spiberではこの微生物を、短時間でコストの安い人工合成クモの糸をつくる精製機として利用する。
今、この人工のクモの糸は世界でも「QMONOS(クモノス)」と呼ばれ始めている。寿司や絵文字など日本語がそのまま英語として利用される例は少なくないが、もしこのクモノスが世界語として広く利用されるとすれば、それは、日本発の世界的なイノベーションが成し遂げられたことを意味するのではないか。
まだ、以下の動画を見ていない人は、是非ご覧いただきたい。クモの糸の量産化の先にある未来には、タンパク質を素材として使いこなす社会が待っている。
そこには、人がぶつかっても歩行者にケガをさせないクルマや着ているのを忘れてしまうような軽い防護服、またジャンプして着地したのかが分からないくらいのスキー・スノーボードだって作れてしまうというビジョンが語られている。素材革命は、即巨大な社会的なイノベーションへとつながっている。