素晴らしい人生とは何か。ハーバード大学が75年間に及ぶ調査の中で、非常に興味深い研究結果が出たということが紹介されています。
A 75-Year Harvard Study Finds What It Takes To Live A Happy Life
心身ともに健康な237人のハーバード大学卒業生と、恵まれない環境で育った332人の若者を、毎年あらゆる側面から調査し続けた「Grant Study」。
この研究を30年以上指揮しているGeorge Vaillant氏が主張する、最も相関関係が強かったものは、次のことのです。
But the factor Vaillant returns to most insistently is the powerful correlation between the warmth of your relationships and your health and happiness in old age.
(最も強く関係する要因は、老年における健康と幸福、温かな人間関係の3つだ。)
年収や家族関係などがどのような因果関係になるのか?という幸福度の関しての定点調査は多くされてきています。
しかし、今回のような「長い時間軸」を前提にした調査というのは、世界的に見てもそんなに多くないのではないかと思います。
幸福感については、常に「主観」の問題と「飽き」の問題が横たわります。つまり、幸せは、自分が幸せだと言ったら、どんなに客観的に辛そうな状況であったとしても、ある意味幸せと言えるし、どんなに幸せでも、そこに居続ければ慣れてきてしまって幸福と思わなくなる、という問題があります。
しかし、今回のように時間軸を長くすることで、この問題も薄まり、より客観的判断がしやすくなるのでしょう。非常に興味深い研究結果です。
人生は晩年で決まると確信しながら、今の最先端を見つめる
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Social Design Newsは、次の時代を作る最先端の事業モデルや社会モデル、働き方などを取り上げてはいるのですが、その底流に流れる哲学の1つに、「人生は晩年で決まる」というものがあります。
つまり、人生は晩年で決まると確信し、自分が老年になった視点から今の最先端を見つめることを良しとして、記事を書いています。
80歳総勤労時代というワードも巷を賑わすようになった昨今。どんなに20代、30代、40代、50代が充実して幸せであったとしても、60代、70代、80代以降が幸せであることが一番大事だという思いが常にあります。マラソンであっても、42,195キロ地点がゴールであって、10キロ、20キロ地点は、途中経過でしかありません。
本屋を賑わす成功ストーリーは、まさにその時代、その人の途中経過の定点観測でしかありません。当然そこから学ぶことは多々ありますが、”人生をかけても良い何か”が存在するのかどうかについては、慎重に吟味するべきでしょう。
リンカーンは、「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」と言いました。そして、それを遥かにこえた晩年というのは、私たちの生き様、生き方がもろに人生に反映されてくる年代です。まさに人生そのものに責任を持たなければならない時。
若いうちは、気力と体力、強気で乗り越えられても、この年代になると、そうはいきません。医学などの進化によって、この人生の総決算たる老年期が、非常に長くなるというのが現代の特徴です。
ということは、まさに若いうちからの「生き方」が問われる時代だとも言いかえられましょう。流行や目に見えるカタチの栄光は、それはそれで大事なことですが、それ以上に見つめなければならない「人として大切なこと」や「人生の軸」というのが、今後も益々脚光を浴びることでしょう。