「これからの会社のあり方って?」
新しい働き方の本が巷を賑わし、来年2014年は「今後、会社は『働き手』にとってどうあるべきか?」という、これまでの延長戦にはない新しい議題を本格的に考えていかなければならなくなるでしょう。
なぜなら、メーカーよりも小売店が強くなったように、小売店より消費者が強くなったように、働き手が経営陣よりも強くなる時代を迎えるからです。
今回ご紹介するのは、ハーバードビジネススクールの記事より。結論から言えば「職場の透明性を減少させると生産性を向上する」という研究結果が注目を集めています。
Hiding From Managers Can Increase Your Productivity
これは、「透明性のパラドックス」と呼ばれるもので、中国の工場にて、作業労働者の職場を管理者が見えないようにカーテンをつけたところ、生産性が10%〜15%伸びたという結果です。
経営の世界では、できる限りスタッフの仕事全てを透明にして管理した方が生産性は高まる、と思われがちです。しかし、こちらのデータからはそうではないということが分かります。
「あまりに透明性が高くなると、見られている方が、管理者の目を管理するようになる」という結論に、私は納得がいきます。さて皆さんは、どう考えるでしょうか?
管理をすることの重要性は相対的に低くなる
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「管理することが経営である」。MBAは、Master of Business Administrationの略であり、ビジネスの管理におけるプロという意味合いがあります。
そして人はさぼる生き物であり、どうやってそのさぼらせないか?それによって、どのように会社にとって価値のある人材にするか?これが経営上の優先課題の1つでした。
それが、現在は来るところまで来ており、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)の量も極限的に増え、本当に必要なところに時間と労力をさきにくい…。そんな本末転倒の状況が、あらゆる会社で見受けられるのが現実ではないでしょうか。
こういうと一方的に、「管理」を否定しているように思われるかもしれませんが、そうではありません。思考にも、拡大させる思考、いわゆる創造的思考と、縮小させる思考、いわゆる論理的な思考等があるように、それぞれが状況に応じて必要になります。
しかし、これまで重要視されてきた縮小的思考や管理は、これからの時代においては相対的に重要度が低くなります。
今回ご紹介した研究データもまさに、そういった時代を後押しする結果であり、今後こういった類いのデータが、ビジネス社会を賑わすことでしょう。
またよくある例で言うと「仕事を24時間やってる感覚が僕にはある!それが楽しいよね!」これは、社長が自分自身で思ってもいいですが、口外することで従業員に無意識的に押し付けてはいけません。管理をされている側は、経営者が思う以上に精神的プレッシャーがかかっているのです。
いずれにせよ、これからの会社のあり方が根幹から考えていく必要のある時期を迎えています。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」