広告は、時代の厳しい風を受けながら、それでも存在への欲求と確信を強めて、様々なスキームを世に送り出す。
英国の空間デザイン会社「Wildstone」は、地域の慈善団体と組んで、新たな広告モデルを展開している。理念は、町のスペースを風光明媚に緑化するというもの。
町には、どことなく暗く感じる場所がある。人もそこにはあまり寄り付かない。そういう場所が多いほど、犯罪率が高いという事実は、ビッグデータでなくても、誰もが直感で把握できる。そこに木や植物、野菜などを植え、明るいガーデニングスペースへと変身させるわけだ。
予算のない町にとっても有り難い。緑化のお金を調達するために、広告スペースを作り、販売をするわけだ。広告を出す企業にとってみれば、CSR活動にもつながる。
広告は、押しつけと時間消費をもたらす、忌々しきものであるというイメージを宿命的に背負っていように見える。しかし、それを乗り越えるために、広告は情報革命を追い風にしながら、あらゆる領域と手を組んで、21世紀の存在意義を模索している。
広告なき世界のビジョンが語られる時、そこには、安易なる絶対性の嫌悪が宿っている。しかし、広告はスキームを変え、概念を変え、時代の要求に応えながら、社会にとってより良い存在に進化しようと努力を続ける。その様を私たちは、期待の目で見つめていきたいものである。
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