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WIREDにレイ・イナモト氏の「広告の未来は広告ではない」という記事をご紹介。
「デジタル」「メディア」「ブランドの物語」「キャンペーン」「360」はもはや通用しない、という話。非常に共感。
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次に「メディア」です。これはどういうことかというと、通常、ある商品のプロモーションをしようと思ったら、商品に合わせてメディアが選択され、それに合わせたキャンペーンを考える、という方程式があるのですが、もはやこれが、崩れかけているということです。「情報を歪めることはたやすい」ということを、多くの消費者が知っていますからね。
ではメディアの代わりは何かと言うと、「プロダクト」だと思うんです。例えば「Bing」という検索エンジンがあります。でも、検索はほとんどの人がGoogleを使うから、全然知られていません。そんなBingはどんなプロモーションをしたかというと、「使うことによって、どんどん履歴を検索するようになり、誘導してくれます」という、商品の特性自体を打ち出しました。つまり、「メディアではなく、プロダクトが重要」なんです。
3つめは、「ブランドの物語」です。ものづくりのバックステージやブランドのヒストリーといった「物語」を語ることで“深み”を生み出し、購買意欲や認知を高める手法は、これまで頻繁に使われきました。でも現在は、「物語」ではなく「行動」こそが重要だと思うんです。
ひとつ例を挙げたいと思います。スウェーデンの観光局のTwitterを使ったプロモーションです。彼らは、公式のアカウントを7日間ごとに無料でひとりの国民に任せ、自由につぶやかせることにしました。あるとき、差別的な発言を頻繁にする人にアカウントがわたったことがあり、海外のニュースでも取り上げられました。普通の国や企業だったら、ここでアカウントを取り上げるところですが、彼らはそのまま7日間任せ続けました。その態度、その行動自体が、結果としてスウェーデンという国のブランディングになり、今年のカンヌライオンズ(広告賞)で、グランプリを獲得しました。
引用元: レイ・イナモト:「広告の未来は広告ではない」 « WIRED.jp.
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私もいつも思うこと。それは、「どうみせるか」「どうやるか?」ということ以上に「何をやるか?」が重要です。
文明の転換によって、あらゆる言葉の概念が変わる
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現代は文明の転換点です。サイクル論で言えば、数百年に一度の転換点です。そして、その文明は次のように動いています。
時間軸中心から空間軸中心へ。
消費から生産へ。
経済社会から文化社会へ。
中央集権型から分散型へ。
テクニックから人間性へ。
こんな時代のベクトルの中「広告」という概念も大きく変わってきます。次の文明では、いわゆる行動そのものが「PR」であり「広告」となるのです。
そして、もっと言うと、その行動の裏にある「信念」が影響力を生み出す社会です。もちろん信念とは、一朝一夕で作れるものではありません。自身の経験や学びによって日々深まっていくものです。
ましてや、その信念なき言論(広告)レベルはまさに煙の如し。多くの人はすぐに見破ってしまうのです。「信念ある行動」こそが影響力を持ち、ムーブメントを作ります。
もちろん、テクノロジーの発展におけるツールの進化も劇的です。私自身、クライアントさんの成果を出すために、新たなツールをどのように使うかディレクションすることが1つの仕事です。しかし、そのツールを会社、NPO、人の理念や信念に合わせてディレクションすることが最も大切です。
文明の転換によって、あらゆる言葉の概念が変わりつつあります。もちろん、今までよりも良い方向へ…。
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