細胞などの生物学的な材料で3Dプリンティングを行うバイオファブリケーションの発展スピードも加速しています。
そもそもこの潮流は、21世紀に入ってから、再生医療・組織工学の分野を中心にで盛り上がってきたもので、今では、3Dプリンタ技術で皮膚や心臓、肝臓などの人工臓器を作る取り組みが広がっています。
参考)アンソニー·アタラ:臓器の培養 (日本語字幕)
アンソニー·アタラ: “臓器を印刷する試み” (日本語字幕)
そして最近では、自分たちでつくる”DIYなバイオ3Dプリンタ”なんていう面白いプロジェクトも始まっています。
こちらは、バイオテクノロジーの実験室を持つコワーキングスペース”BioCurious“(バイオキュリアス)で行われているプロジェクト。高価なバイオ3Dプリンタ業界に、小さな波紋が広がっています。
こちらのDIYバイオ3Dプリンタの総費用は、なんと150ドル(笑)
もちろん性能、機能等の要素はあるでしょうが、今後バイオ3Dプリンタは”一部の人しか使えない高価な機械”という印象はなくなっていくことでしょう。高機能な家庭用3Dプリンタの開発が着々と進んでいるように…。
そして、このバイオキュリアスのミッションは、「生物学における技術革新を、誰でもアクセス可能にし、しかも手頃な価格で手に入れられるようにすること」。コンセプトは”アマチュア発明家や起業家のための生物学の実験室”。そして入居料は、なんと月100ドルから!!! おおお〜これは熱い!!!
3Dプリンタを導入したコワーキングスペースは、日本でもco-baさん、オオサカンスペースさん、そして、最近ではサムライインキュベーションさんのMONOがあります。
では、次の展開はというと?
それは、コワーキングスペースに、様々な実験機器が導入され、工房としてだけでなく実験室&研究室となっていくという近未来が予想されます。
日本初の”実験研究機器を導入した地域のインキュベーション型コワーキングスペースの設置”を提案
現代は、バイオロジービッグバン(生物学ビッグバン現象)時代と言われます。ビル・ゲイツ氏は「いま自分が少年だったら間違いなく生物学をやっていた」とさえ言っています。
「20世紀が、高額な実験機を中心とした物理学の時代だったとするならば、21世紀はローコストな研究室で進んでいく生物学の時代となる」これが今の科学の大きなトレンドです。
そのメインストリームの1つに、なんと”バイオ3Dプリンタ等の実験機器が導入されたコワーキングスペース”が担っていく可能性があると思っています。イメージとしては、多くの人に解放された”町の実験室”です。
先日お誘いを受け、ある大手飲料メーカーの経営企画部の方がお話される勉強会に参加しました。そこで私の興味があったところは、この飲料メーカーが民主化された後の”21世紀型モデル”についてです。
営業、マーケティング、経営企画などは、全て今ある最新の情報革命、グローバル革命、メイカーズ革命の仕組みを導入すれば21世紀型へ進化させることができます。しかし、「研究室だけは、なかなか他の仕組みでは代替できないな…。はて、21世紀はここはどうなっていくのか…?」と考えていました。
そして、この疑問の回答につながったのが、このバイオキュリアスです。ここには、顕微鏡から、タンパク質精製システム、無菌試験管など様々な実験・研究用の機械や資材が揃っています。こういった民主化された研究室が、これから大きな役割を担っていく可能性があります。
ただ今の日本には、このような取り組みは見受けられません。
しかし、ちょうど先日、平成24年度補正予算公募型助成金の第1弾として「イノベーション実用化ベンチャー支援助成金」(総額100億円)の募集が始まりました。(締切は3月21日)
上限金額が5億円と多く、そして助成率が3分の2。今回は申請段階で「銀行の融資証明と推薦書」が必要です。つまり、地域銀行の事業支援としての役割も持っているということです。事業分類は”研究”となっており、おお〜まさにうってつけだな…(笑)という感じがしています。
タイトルは”実験研究機器を導入した地域のインキュベーション型コワーキングスペースの設置”でどうでしょうか(笑)
ご興味のある方、この取り組みにピンと来る方は、是非申請してみてください。日本にとっては、大きな一歩となるはずです。