医療設備の最適化を目指すトレンドの始まりです。もちろん、それは病院経営にも優しいことを意味します。
「Cohealo」は、医療機器の共有・配送を行うサービス。病院経営のコストを下げることができ、社会における医療機会も増やします。
病院では、高価な機器が、遊休設備となってしまう時間が多い模様。創業者のマーク・スローター氏は医療機器の販売を仕事としていましたが、6ヶ月間ある南フロリダの病院で手術用の機器の利用率を調べてみました。
12万ドル(約1,200万円)もする機器は、利用されずクローゼットの中に置かれていた時間が約75%もあったと言います。6ヶ月のデータを見ると、月換算で19〜25日利用されていないという結果です。また、他の各医療機関においても、ほぼ同じようなデータを示していたとのこと。
そこで立ち上げたのが、Cohealo。クラウドベースのスケジューリングプラットフォームは、共有できる機器の透明性を実現し、素早いレンタルコラボレーションを可能にします。
共有する医療機器の配送も、時間厳守で安全に請負います。
機器を借りる病院は経営のリスク、コストを下げることが可能ですし、貸し出す病院にとっては、新たな収益の機会となります。もちろん、医療機器の効率利用は、患者においても多くのメリットを与えてくれます。今後の更なる発展を期待したいサービスです。
共有における社会資本の最適化は、広く深く行き渡る
PHOTO: operating room from Shutterstock
日本において、この辺りはどうなのでしょう。ということで、こんなデータがありました。
米国医療機器・IVD工業会(AMDD)は,このほど「医療機器提供コストの日欧比較調査結果」をまとめた。この調査によると,日本において医療機器製品1個を提供するのに要するコスト*1 は,欧州諸国に比べて,心血管系機器(PTCA,ベアメタルステント,ペースメーカー)では平均約2.2倍,整形外科系機器(人工股関節および人工膝関節)では平均約2.5倍のコスト高になっていることが判明した。
*1 経常費用。研究開発,製造から医療機器を医療の現場に届けるまで必要な営業・マーケティング,治験・薬事・品質管理,預託在庫などに関わる費用のこと。
引用元: 日本で医療機器の提供に要するコストは欧州諸国に比べて2.2倍から2.5倍であることが判明-三菱総研調査から日本と諸外国との医療機器のコスト構造の違いが明らかに.
他の分野と同じく、またそれ以上に、医療分野においては、国における法律・規制、カルチャーなど様々な要因があり、新たなサービス、文化を広げることは簡単ではないでしょう。
しかし、共有における社会資本の最適化という波は、あらゆる業界に広く遠く行き渡る巨大なトレンドです。恩恵が広く深く受けられる同様のサービスが世界中に登場してくることに期待です。