トマ・ピケティ氏の著書「21世紀の資本」が、日本においても予想を超えて売れている。本屋の店頭に、約6,000円もするこの分厚い本が、堂々と平積みされている偉容は圧巻だ。
関連本も勢いよく発売され、さっそくティッピングポイントを超えてきたように思う。これから一大ブームとなって、社会を賑わせてくれそうだ。
さて、そんな中で、再び熱を帯びていきそうなのが、ベーシック・インカム導入への議論である。ベーシックインカムとは、最低限所得保障であり、国家がすべての国民に対し、必要最低限の生活を送るのに必要とされる現金を定期的に支給するというもの。月5万円の支給とすると、家族3人で生活していれば、15万円がセイフティネットとなる。
また、イーロン・マスク氏やホーキング博士が、人口知能への警鐘を鳴らし、世界に話題を振りまいているが、日本のマスメディアも、この問題に益々フォーカスを当てていくようである。
こういった動きも、ベーシック・インカムの議論を補填していく。上の図は、現代の人間の頭が、”生きるためにお金を稼ぐ”ことで頭が一杯となっている状態かであり、それがベーシック・インカムの導入によって、変化することを分かりやすく示している。
Unconditional Basic Income – an Economic Model for a New Renaissance
更にこの記事は、新たなルネサンスによる経済モデルと題し、実際に小規模で行われてきたベーシック・インカムのパイロットプロジェクトが、犯罪を減らしたり、医療費の削減にもつながってきたというポジティブな結果を記述している。
リーマンショック以降、世に顔を出したこのトピックは、いよいよ世界的に本格的な潮流となり始める。
次の時代の価値観が明快に見える2015年
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じっと世界の動きを見ていると、市民の声が渦となり、社会が進むべくの方向性に光を当ててくれている。
分野を問わず、様々な人々が、2015年は時代の区切りであり、新しい変化へ突入する時だと言う。
その変化の領域は、これまでになく大きく、話題も豊富だ。そして、来年も興味深いテクノロジーやビジネスが様々登場してくることだろう。Social Design Newsでも、社会を変えゆくそれらのコンセプトに光を当てながら、変わらずに情報発信していく予定だ。
しかし、私が最も注目していきたいことは、やはりこの時代の底流に流れる価値観の変化、進化である。経済も政治も、芸術もテクノロジーも、結局のところ人間が起点となる。人間がこれらの変化、進化をつくり出しているのである。
人間を深く見つめる。声なき声にも、じっくりと耳を傾けながら、その動きから瞬時も目を離さない2015年としていきたい。