拙著「ビジネスモデル2025」が2週間で3刷に突入しました。全国的に売れているとのこと。皆さんからも各所でご紹介してくださっているとご連絡いただいています。有り難い限りです。
さて、IoT真っ盛りですね。当然ながら、この話題はビジネスの領域で語られます。
しかし、なかなか「社会」との関係性の文脈では語られませんね。今、私が重要だと思っていることは、IoTも、経済とビジネスの文脈はもちろんのこと、社会との関係性について語ることだと思っています。
経済社会、ビジネス領域は、あらゆるところで横にレイヤー化、縦にモジュール化が進んでいます。その細かさと複雑さに目がいくのですが、トピックが多すぎて、全体がごちゃごちゃしている。
そこで必要なのは、そのレイヤー同士、またモジュール同士、またあるレイヤーと、あるモジュールの関係性について語られることでしょう。ここを突き詰めていけば、当然「経済と社会との関係性を問う」ところにぶち当たります。
例えばIoTが進み、私たちのあらゆる行為がセンシング(センサーによる計測・判別)され、情報化していき、それがある方向性と意味を見いだした時に「これは金になるね!」という話は当然あります。先日も、スタッフの荷物を運ぶ動きを逐次チャックし、腰や背中の怪我を防ぐサービスを見ていましたが、こういった事業はどんどん増えていくことでしょう。
しかし、このようなビジネス世界と社会との関係性についてはどうなるのか?という点も合わせて見ておく必要がある。なぜなら、今は、社会と経済の関係性の再構築期であるからです。私たちが強い意思を持って描いたビジョンが現実化されて、社会と事業が再び一体性を取り戻していきます。
例えば、拙著「ビジネスモデル2025」では、情報密度の高い社会においては、「思考が現実化する」と書きました。それは、何も自己啓発の話ではありません。取引コストが極限的に少なくなっていく世界では、当然そんなことが起こりえるのです。
例えば、「自転車が壊れた…新しいものを買おう!」とも思うのだけど、「引っ越すからこの自転車いらない!」もしくは、「使っていない自転車があるけど1,000円でゆずります!」という人と瞬間的にマッチングしたらどうでしょう。またもう少し、IoTが進んでいけば自転車も所有するものではなく、空いているものを使用する(使用価値にアクセスする)、という方法が一般的になる可能性は高いのです。
また、その世界は「シンクロニシティ化する社会」と言ってもいいかもしれません。シンクロニシティとは、「偶然の意味ある一致」ということですが、この概念は、当然”効率性”という概念も含んでいる。シンクロニシティももはや自己啓発的な文脈のみで語られることではないのです。
今はちょうどノーベル賞の時期ですが、様々な発見は、「セレンディピティ」と呼ばれる「偶然の幸運」がその発見を支えているということもよく言われます。つまり、あらゆるものがセンシングされる世界の中では、このセレンディピティさえも加速させる可能性があるということです。
もちろんこれはビジネスの領域から進んでいきます。人材系のサービスもAIを利用したものが世界的に増えていますし、これが、人とモノ、人と会社だけでなく、モノとモノ、モノとコトさえが連携しあっていく社会がこれからです。
そういった社会は、一体どんな社会なのか。また、経済、ビジネスはどういった様相になっているのか。その関係性は?そんな中で隆盛を極めるビジネスモデルはどういったものか。そんなことに興味のある方は、是非「ビジネスモデル2025」を手にとっていただければ幸いです。
【主なキーワード】
・上がる生産性、上がらない賃金。これからの価値創造社会の実体は?
・高速化し、ギャンブル化する経済。新たなビジネスルールが出現した!
・取引コストだけでなく、在庫コスト、物流コストがゼロに近づいていく
・情報密度が極限的に高い社会は「思考が現実化する社会」
・重要なのは利益ではなく、社会における影響力、貢献価値の最大化
・ロボット産業は、意外と資本集約的でなく、参入障壁は低い
・個人と地域が活きるニューサプライチェーンが誕生する
・所有という概念が薄まり、使用価値へアクセスする社会へ突入
・ボットソーシングで、ロゴやウェブサイトを高度にデザイン
・技術的特異点と仏教的生命観。次世代ビジネスの哲学的基礎
※こちらの立ち読みPDFで、一部読めるようになっておりますのでご確認ください。