ロボット、AIの普及が一気に見えてきている。働き方、経営モデルが現実的に大きく変革するポイントに差し掛かっている。そんな中で浮き彫りになってくるのが、人材への接し方である。
昨日まで大事にされていた人が、ある日突然AIの導入によっていらなくなってしまうかもしれない。経営陣も人間だ。葛藤をする。どうすれば、今まで一生懸命働いていてくれた人に、これからも気持ちよく働いてもらえるかを思い悩む。
ここにその会社、経営陣の精神の力、思想の力が宿る。
逆説的であるが、人がいらなくなる時代であればあるほど、人が集まってしまう場所が支持される。人間は会社のための単なる人材リソースではない。もちろん、そういう側面を有することは当然である。しかし、それをもって人間の全体としてしまうのは、あまりにも浅い。この人間観により、22世紀から見ると21世紀の経営陣が戦犯のように評価される可能性は決して低くはないのだ。
誰もが感じていることだが、今評価は一瞬にして変わる時代だ。昔のように時間をじっくりかけて変化していくものではない。これまで高い評価を有していたものが、ある時突然低い評価へと転落する。そんなことは日常である。
しかし、そんな時代だからこそ、普遍を見つめ、社会全体、会社全体、人間全体を見つめなければならない。そして、それらの関係性を問い続けなければならない。
AIは驚くほどの進化を遂げて行く。重ねるが、AI時代であっても「人が集まってしまうところを作れるか」が同じように課題となる。変革期を歩む私たちに問われていることは、一見矛盾したものを有機的につなぎ合わせ、そこに関わる人達全体を喜ばせていくことができるかどうか、である。
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【参考】
・【BBM】『ビジネスモデル2025』長沼博之・著 vol.4122
・Newsweek日本版「コストゼロ&シェアの時代のマネタイズ戦略」
・「ビジネスモデル2025」で紹介した”価値消費ピラミッド”と21世紀の消費について
・新たな経済パラダイムとビジネスモデルが出現する。新著「ビジネスモデル2025