これは、面白いニュースです。ついにあのフォードが3Dプリンタを社内のエンジニア全員に配ることを決めました。
Ford engineers have 3D printers on their desks. When will you get one?
配る3Dプリンタは、先月2012年11月にニューヨークに自分の顔を3Dプリントできる直営店をオープンしたメイカーボットのレプリケータ2です。
導入の目的は、部品の寸法などを実際目と手で確認することによって、更にデザインを洗練するためとのこと。
これは、素晴らしい取り組みですね。時代の変化に合わせて、大手も1人の力を最大化するための投資をどんどんしていかなければならないタイミングに来ています。
ラピッドマニュファクチャリングが製造業の全てを変える
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フォードと言えば、1914年のシャーシのアセンブリー・ラインにベルトコンベアを導入し、組み立てに関する大量生産方式の基本形を完成させたと言われています。それによって低価格の自動車を可能にし、始めて「大衆車」が世界に登場しました。
大量生産の特徴は、生産設備切り替えの時間損失を減らし生産効率を高めること、作業の細分化・単純化によって安い労働力を活用すること。また個人のスキルに依存せず均一な製品を大量に作ることなどがあげられます。
その大量生産により、大量消費時代が到来しましたが、今時代の流れは確実に変わり始めています。それが、デジタルファブリケーションが生み出す「多品種生産・適量消費」という流れです。
まだ、既存の製造業における3Dプリンタの役割は「ラピッドプロトタイピング」(素早くプロトタイプを作る)が主流ですが、近い将来、3Dプリントのスピードと性能があがり「ラピッドマニュファクチャリング」(素早く製品そのものを作る)が普及するタイミングが来ます。
現在、ラピッドマニュファクチャリングを実現する3Dプリンタは、1億円を超える金額で非常に高価ですが、この値段も徐々に下がり、性能も格段に上がってくることでしょう。
そして、金型生産の何十倍も速いスピードで製品を作れることはもちろん、生産品1個当たりの費用が金型生産と同じくらい安い価格でできてしまう時代が到来するのです。
この時代がいつ来るかというのは明言できませんが、3Dプリンタの発展は業界の人間も驚くほど速く、思ったよりも近い可能性があります。私たちは、近い将来その時代を体験することになりますが、社会はまさに「産業革命」といった様相を呈することでしょう。
それを考えても、大手メーカーは、エンジニアに早くデジタルファブリケーション、3Dプリンタを使いこなしてもらうための投資をしていく必要があります。それをやっていくしか、大手が身軽な小さなチームに勝てる方法はないのでは?と思います。
また100年前と同じように、ここでもフォードが先陣を切ったというのがとても興味深いですね。日本の自動車メーカーも頑張って欲しいところです。