先日、HP(ヒューレッド・パッカード)のCEO ロブ·エンダール氏は、「私たちが復活するためには、パーソナルロボットと3Dプリンタの分野で競争に勝っていかなければいけない」と発言しました。
IBMを復活させたルイス・ガートナー氏は、コンピューターのメインフレーム、そしてスティーブ・ジョブズ氏は、スマホやタブレットPCなどのパーソナルな電子機器の波を捉え、企業の成長を牽引したと、例をあげ説明しています。
HPは、PC部門と印刷部門を統合し、パーソナルロボット製品の開発を急いでおり、さらに家庭用3Dプリンタへの参入も検討しているようです。
他にもソフトバンクの孫さんが、ロボット会社となるビジョンを明確に発言していますし、最近ではクリス・アンダーソン氏がベンチャー企業である3DロボティックスのCEOに就任しました。
これらからも分かるように、多くのエレクトロニクス関連企業は、パーソナル・ロボットと3Dプリンタ(デジタルファブリケーション)関連市場で闘わなければならない宿命にあります。
ただ、これからの大企業のライバルは、名前の知られた同じ大企業だけでなく、個人やチームすらライバルとしていかなければなりません。
アメリカでは、数人のチームがソニーを破った「スマートウォッチ・ペブル」の事例もありますし、日本では次世代パーソナル・モビリティー「WHILL」があります。3Dプリンタも世界中で安くて高機能なものが生まれてきています。
製造業のインフラがオープン化し、新たな生産支援サービスが生まれていく中で、2013年以降「小さなチーム」がロボット的機能を持った電子機器や3Dプリンタをどんどん発表していくことでしょう。
ものづくりが、WEBサイト製作のようなものに近くなっています。この時、大手エレクトロニクス企業はどうするのか?ここに「大企業とは何か?」という問いが発せられる1つの原因があります。
時代の波を感じる小舟となって、パラレルキャリアを実践する
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大企業の事業は、益々ギャンブル的になってきています。自社商品を超える商品がたった1つ現れただけで、自社で抱えた100億円の工場群が突然お荷物になってしまうのです。
その中で、大企業で働く人はどのようなキャリア形成を考えれば良いのか?
先日もある大手に勤めておられる方とお話させていただきました。その方は、次のようにおっしゃっていました。
「大企業は大きな船です。よって、時代の波、水面の細かな波を感じ取れません。よって、次の時代を乗り切る方法は、時代の波を感じることができる水面に小舟をたくさん浮かべ続けるしかないと思っています。しかし、大企業の場合水面に近い小舟を浮かべることがなかなかできない」
そして、その方は自分が小舟となりいろいろなコミュニティーに所属し、活動をされています。「大企業が時代の波を感じ取ることができる小舟を浮かべることができないのなら、自分がその小舟となる」今後はまさにこの発想だと思います。
これによって、大企業も救われますし、個人としてもパラレルキャリアを実践することができます。
今までの時代は、個人が企業に依存してきました。企業が人を使うというイメージです。しかし、大きなピラミッド型組織が時代に合いにくくなり、大企業がブランドとしてのただの「記号」となりつつある中で、これからは個人が大企業を使っていく時代です。それが、企業にとっても、個人にとっても重要になるのです。