マッキンゼーが2025年の経済に大きな影響を与える技術についてのレポートを発表しました。こちらが世界の市場規模とその予測レンジです。
1位 携帯インターネット 370兆円〜1,080兆円
2位 知識労働の自動化 520兆円〜670兆円
3位 モノのインターネット 270兆円〜620兆円
4位 クラウド技術 170兆円〜620兆円
5位 先端ロボット 170兆円〜450兆円
6位 自動運転自動車 20兆円〜190兆円
7位 次世代遺伝子技術 70兆円〜160兆円
8位 エネルギー貯蔵技術 10兆円〜60兆円
9位 3Dプリント 20兆円〜60兆円
10位 先端素材 20兆円〜50兆円
11位 高度な石油及びガス技術 10兆円〜50兆円
12位 再生可能エネルギー 20兆円〜30兆円
3Dプリンタについて気になるポイントはこちら。
・3Dプリント技術の1つであるレーザー焼結特許は2014年に期限が切れる(積層造形技術の特許が2009年に切れたため、安価な3Dプリンタが登場し、大きなトレンドを作った)
・流通する製品の10%は3Dプリンタで作ったものになる
・大量生産する場合はまだ、伝統的な金型による製造技術の方がコスト的に優位
・一方、部品に関しては30%〜50%が、消費者が自ら3Dプリントするようになる
また、12個の技術を俯瞰してみますと、何らかの側面で3Dプリント技術と切り離せないテクノロジーであることも分かります。
例えば、今後「人工知能ロボットを、3Dプリントする」研究は加速するでしょうし、「3Dプリンタで作るオンリーワンの自動運転カー」が発売されることも予測されます。
ものづくりの知覚的変化が起こる
photo credit: Marce Mendez Campos via photopin cc
3Dプリンタ技術は、「市場規模」という経済的側面だけで語ると、とても味気ないものになると個人的には思っています。なぜなら、3Dプリンタは「経済」を変えるというよりも「社会」を変えるからです。
人はなぜ「もの」をつくるのか?
人類の歴史を振り返ると、多くは生活を豊かにするため、もっと言えば、「より便利に」生活するためでした。洗濯機の発明は、「女性を(家事から)解放した」とも言われました。
そして、私たちが大衆的余暇というものを手にいれたのは、産業革命以降。日本においては、ここ最近、20世紀のことです。当然、暇がないのに生活を便利にすること以外にものを作るなんて、一種の道楽であって、社会的に不健全なことだったのかもしれません。
しかし、これからは変わっていきます。当然、生活を便利にするためにものは作られますが、それだけではなくなるということがポイントです。
つまり、ものづくりに「知覚的変化」が起こるのです。もっと言えば、ものづくりに「多種多様な意味」が発生していくのです。
人間は「便利さ」だけを追求する生き物ではありません。優雅な感性、使命感など、人間を人間たらしめる多くの要素を持っています。それに基づいた、ある種神聖で泥臭い「ものづくり」が多く出てくるわけです。
父の日が近いですが、3Dプリンタを使って作った、世界でたった一つの「腕時計」を父にプレゼントする、なんていうことも出てくるということです。
さて、水野さんから新刊が発売されています。「自宅ではじめるモノづくり超入門 ~ 3DプリンタとAutodesk 123D Designによる、新しい自宅製造業のはじめ方 ~」
内容はこのような感じ。注目です。
◆欲しいモノを自分で形にする時代が来た! 【雑貨・小物】、【アクセサリー】、【家具】、【フィギュア】、【模型】etc…
Chapter 01 モノづくりの基礎知識と3Dプリンタの基本
Chapter 02 3Dモデリングの基本
Chapter 03 123D Designの基本操作
Chapter 04 簡単なモデリングをしてみよう!
Chapter 05 【実習】モノづくりのための3Dモデリング1 ─ ペンスタンド、名刺ケースの制作 ─
Chapter 06 【実習】モノづくりのための3Dモデリング2 ─ チェア、フィギュアの制作 ─
Chapter 07 3Dデータからリアルなパーツを製造する方法
Chapter 08 本格的な個人メーカーを目指して ─ 商品の製造から販売までのプロセス─