NASAが、美味しいピザを3Dプリントするために「3Dフードプリンタ」へ出資したニュースが話題になりました。
【参考】
・これからの20年で現在のアメリカの雇用の50%以上がコンピューターに代替される
そして今、料理を3Dプリンタで作る「3Dフードプリンタ」の実験が、世界中で開始され始めています。
こちらは、A. J. Jacobs氏と奥様の3Dフードプリンタの実験記事。ちなみに上の画像は、トウモロコシでできた「麺」をアルファベット型に3Dプリントしているところです。
拙訳ですがこちらの記事には、次のようなことが書かれています。
・3Dフードプリンタは、これまでで最も重要な調理器具になる可能性がある
・野菜がどんなに嫌いな子供でも「ブロッコリーで作られている”ランボルギーニ”」なら食べたいと思いませんか?
・将来的には、3Dプリンタは加熱機能も備えることになる
・3Dプリンタに適した料理と、そうでない料理がある
・3Dプリンタで、美味しい料理を作ることは十分に可能
・より効率的に食品・料理を貧困地域に送ることができ「世界の飢餓の撲滅」に役立つ
当然ですが、これまでの「伝統的な料理(プロセス)」がなくなることはないでしょう。どんなに調理器具が発達したとしても、母親が、そして料理人が丹精込めて作った料理に適うものはありません。
しかし3Dフードプリンタは、家で料理する「内食」、また新しい調理器具の導入という側面から「外食」にも影響を与える可能性が高いでしょう。そして、お弁当やお惣菜などを買って帰り、家で食べる「中食(なかしょく)」関連にも、”3Dフードプリンタで作ったおかずを持ち帰って食べる”など、面白い動きが登場してくるはずです。
ちなみに3Dフードプリンタの基本イメージを共有するため、パンケーキを3Dフードプリンタで作る動画をシェアします。
【参考】
・食べ物とは何か?3Dフードプリンタの近未来「Atomium」
料理業界のAppleが登場する???
母親が子供に作る料理、高級料亭での食事など、絶対に「労働集約的」であるべき食事はこれからも存在します。
しかし、3Dフードプリンタの登場によってこれまで「労働集約的」だった調理が「知識集約的」になっていくことは間違いなさそうです。
そして、「切る→味を付ける→カタチを作る→煮たり焼いたりする(加熱する)」を一気に行う可能性のある3Dフードプリンタは、「料理をどう作るか?」というところから、”人間を解放する”可能性があります。
この「どう作るか?」から解放された人間は、その前段階である「何を作るか?」という思考段階に力を注ぎやすくなります。
そしてこの「何を作るか?」という思考をサポートするソフトウェアも多数登場してくるでしょう。
例えば、今日の体調をスマホアプリで読み込み、食べたいもの入力すると、おススメの「理想的なメニュー」が登場する。それを3Dフードプリンタにデータ転送し、料理を3Dプリントするなんていうことです。
また、知識集約的になる料理・食事は、調理後、食事後への細かなアプローチを始めることでしょう。摂取したカロリーの理想的な消費方法、食材の残量の把握までもがシームレスに連動してくるのです。
このように労働集約型であった調理がどんどん知識集約的になる中、考えられることは「調理界のApple」のような会社の登場です。
デザイン性の高い3Dフードプリンタを中心とするスマート調理機器とソフトウェアをループ型につなげ「人類の食事」に大きな影響を及ぼす会社。
日本の家電メーカーにも是非挑戦していただきたい分野です。
【Social Design Newsから本が出ました】
ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
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