あらゆる業界にロボットが進出してくる時代に入りました。こちらシリコンバレーのスタートアップKnightscope社が開発した警備ロボット。
360度の高解像度ビデオカメラ、高品質のマイク、赤外線センサ、レーダー、超音波&距離センサ、光学文字認識技術などが搭載されています。
こちらの会社は、あのサンディフック小学校での銃乱射事件の後に創設されており、学校に常時警備員をおくことはできないので、警備ロボットを配置する文化を作りたいと思っているようです。
もちろん、今現在警備員が配置されているような場所は、どこでも警備ロボットが配置される可能性があり、理念は、世の中の犯罪の50%を削減すること。
気になるコストですが、ロボット単体を販売するのではなく時間あたり6.25ドル(約625円)を支払うサービスモデルを検討しているようです。
アメリカの最低賃金は7.25ドル、日本の最低賃金は都道府県平均で764円となりますので「ロボットが雇用を奪う」という議論には当然つながっていくことでしょう。
こちらが 警備ロボットから見た外界イメージが分かる動画です。
労働は商品ではなく、人間の尊厳
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ILO(国際労働機関)によって提唱された「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の概念。
まさに今、ここを本格的に考えていかなければならない時代となりました。
仕事というのは、当然金銭的報酬が大切です。しかし、それだけではないと強く思っているのが今の働く人々の価値観です。社会により良い影響を与えているという実感、またその仕事が広がっている、成長しているという感覚、そして、ワークライフバランスも大切です。
このようなロボットの台頭によって、私たちはまさにディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を仕事とせざるおえなくなるのです。
現在の「雇用の流動化」という議論。解雇や賃金を下げることに対して規制を緩和するという話ですが、これは生産性の低い仕事から生産性の高い仕事にスムーズに労働者を移行させるため…という目的が1つあるようです。
決して全てが無意味とは言わないのですが、そもそも違和感があるのが、その底流に流れる哲学。つまり「国際競争社会で日本が勝つため」というものです。
今、私たちは「国家や企業という顔」ではなく、もう一度「人間の顔」を見つめる必要があります。国や企業を勝たせるというよりも、人間そのものを勝たせなければならないわけです。今、私たちが直面している課題はここなのです。
そこに焦点を合わせた雇用や働き方の議論をしていかなければなりません。
このようなロボットの台頭は、人間をより人間らしくするための布石でもあるのです。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」