クラウドソーシングサイト大手oDeskが、オンラインワーク白書を発表しています。
The Online Work Revolution: How Businesses Are Reaping the Rewards
今年2014年、世界のオンラインワーカー人口は13億人に達すると見られており、これは世界の労働人口の37.2%に相当します。驚くなかれ3分の1以上の計算です。
歴史を振り返れば1985年から電話によるテレワークがスタートし、1990年代後半からは自社業務をアウトソーシングしたり、海外へ委託、移管する流れが広がりました。そしてこの2010年代は本格的なオンラインワーク、クラウドシーシングの導入が求められる時代となります。
多国籍企業の66%が、クラウドソーシングをうまく活用できなければ今後5年間において収益に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘されており、クラウドソーシング利用は単なるスタートアップや個人のためのツールではなくなります。
oDeskの需要のある仕事を見てみると、WEBサイト製作やライティング、アプリ製作のようなおなじみの仕事はありますが、電気機器エンジニアやロボット技術のエンジニアなどリーンハードウェア時代を象徴するような仕事の需要も増えてきているようです。
そういえば、日本の企業リバネスさんが3月に「ResQue」という研究者・技術者専門のクラウドソーシングサイトを立ち上げますね。
これまでの伝統的な雇用では限界のあった人材へのアプローチも、これからは容易になります。また、週5日、1日8時間働く労働者を雇うという慣習も事業によっては大きく変化していくことでしょう。
クラウドソーシングにおける雇用モデルを導入すれば、週7日そして24時間の運営も可能になります。また当然、変動費を大きくした柔軟経営が可能となっていきます。
今年も世界的に「働き方の再構築」が大きく進展していきます。
新しい労働観の構築を
photo credit: Mark Heard via photopin cc
今、私たちは新しい労働観を構築すべきタイミングにきています。
現代の「働くこと」に関する問題の背景には、労働観、労働哲学の崩壊という現実がひそんでいるのです。
例えば、「会社に勤めあげるという美学」。
企業、そして事業の寿命は益々短くなり「良い苦労を30年させていただきました」と退職をしていく美学が今や非現実的となっています。
また、「仕事の報酬は仕事」という労働観。
仕事によって自身の成長、自己の鍛錬をするというある種の「道」としての労働観が、日本にはありました。
しかし、大量採用大量解雇を前提とするマニュアル労働ベースのブラック企業の興隆によって、この労働観もある側面において打ち破られてしまったのです。
今、私たちが直面している問題の根本には、この伝統的な労働観の崩壊という問題があります。
では、クラウドソーシングやクラウドファンディングやデジタルファブリケーションという次世代の働くインフラは、新しい労働観を構築することができるのか?
私はそれは可能であると思っています。というよりも、そうでなければならないということです。
クラウドソーシングは、人材を安く買いたたくプラットフォームであるという認識が広がりつつありますが、日本のクラウドソーシング最大手のランサーズさんは、ランサーズチームという新しいチーム労働システムを導入することによって、その問題を解決しようと取り組んでいます。
【参考】
・オンライン上でチームを作って仕事をする「ランサーズ マイチーム」がローンチ!
また、私がよく取り上げる「パラレルキャリア」という概念は、保身的なテクニックベースの話ではなく次世代の1つの労働観として根付いていくと思っています。その背景にあるのは、言わずもがな個人における「自己実現欲求」と「貢献欲求」の拡大です。
私たちは伝統的な労働観と新しい労働観を融合させながら、21世紀のより良い労働哲学を再構築すべきタイミングにきているのです。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」