昨日、500名が参加した「クラウドワークス2周年記念イベント」にて基調講演及びセッションの司会をしてきました。
イベントの冒頭は、ある方が自分の荷物を置いた場所を忘れてしまったようでして、”リアルクラウドソーシング”、つまり会場のみんなで探し出すというところからの始まりました(笑)
クラウドワークス吉田さんのスピーチでは、自身の人生における苦節の体験を通し「とにかく新しい働き方を実現しようとする方々にありがとう、と言っていただけるかどうか?だけで会社を経営しています」とのメッセージ。心が熱くなりました。
“世界に広がる新しい働き方”について追っている私としては、「日本においてどれくらいの人達が、どのような新しい働き方を実現しているのか?」というところを垣間みれたらと思っていました。
セッションでは、自転車で日本中をまわりながら仕事をし、月80万円以上稼いでいるsugomonの松田さんの事例など興味深い事例が満載。「クラウドソーシング×旅」というデジタルノマドをやっておられる方が日本にも存在しており、かつこのような生活を行おうと思えば行えるような方が、もはやかなりの数いらっしゃることに驚きました。
【参考】
・旅しながら働く。oDeskの調査から分かる「デジタルノマド」という大潮流
今後はクラウドソーシング×○○という潮流は、日本においても大きく広がっていきます。
また、社会の底流で静かにしかし着実に広がっている潮流は「働き方のロングテール」です。今まさに個性にあった働き方、ワークスタイルが無数にうまれてきています。営業スタイルという面においても画一的に考えていくわけでなく、紹介ベース、がっちりとした対面営業ベースと、同じ仕事をしていても、個性にあった方法で進めているというところが興味深かったですね。
ちなみに、このイベントでスポンサーをやっていたマイクロソフトの方が「私の所属する部署は、在宅勤務が7割」と発言。外資とは言え日本においても大企業がここまで積極的に在宅勤務を広げているんですね。
また「地方での新しい働き方」のセッションにて司会を行いました。千葉に住み独立後3ヶ月で月商100万円を超えた25歳の山口さん、そして札幌に住まわれていて、会社の仕事と個人のクラウドソーシング2つのわらじを履く熊野さん、また奄美大島に移住してフリーランスとして働く金森さんからお話をききました。
興味深いところは様々あったのですが、特に次の点が非常に学びとなりました。
・好き嫌いをせずに、嫌な仕事でも受けていくべし。そういった仕事の中から時給1万円ほどいただける仕事へとつながる場合がある(山口さん)
・コンペ形式にどんどんチャレンンジすべし。気軽にチャレンジできるメリットを活かし、実績を作り続けるべし(熊野さん)
・もはやネット環境さえあればどこでも、働ける時代。考えすぎず、まず動いてみるべし(金森さん)
コンペを活かせ!とおっしゃられていた熊野さんは、最初の1ヶ月は毎日デザインを3つずつ提案し続けていたそうです。そして1ヶ月は全く反応がなかったのですが、2ヶ月目からコンペで勝てるようになり、それが実績として積まれていき、今では仕事をかなり取れるようになっているとのことでした。
また、名言として「デザインは好き嫌いがあるので、確率論。とにかくコンペで数を出しましょう」とおっしゃられていたこと。
確かにそうなんですよね。私自身、書籍「ワーク・デザイン」の装丁はクラウドソーシングを利用させてもらいました。70案上がってきたものを、書店、出版社、私で話し合って決めたのですが、デザインに関しての意見は結構バラバラでした(笑)
さて、クラウドワークスさんはまだ社員数20名程度のベンチャー企業です。しかし、会員登録数は13万人を超えて、その影響力は日に日に増しています。
また、クラウドワークスさん自体が、自社のクラウドソーシングサービスを徹底活用し、経営されています。「のべ人数でどれくらいの方々に仕事を振っておられるか?」と質問をしたところ、500人では全くきかないということでしたので、1000人以上の方々に仕事を振ってこられたのでしょう。
そして、その影響力は、発注者、受注者、そこから広がるソーシャルインパクトを考えて、100万人規模へと広がっていこうとしています。
イベント一連の雰囲気を感じて思ったことは、これからは「企業のための人」ではなく「人のための企業」でないと発展することはできないということ。それも、それをただ単に理念として掲げるのではなく、実際の現実のモデルとして落としこんでいるかどうか?が問われます。
「社会のための企業」「お客様のための企業」 「社員のための企業」
これは、どこでも掲げる当然の理念でありますが、具体的なモデル、現実へとそれを反映させようと思った時、「(短期的)利益を出し続けなければならない」という論理に負けて、現実の戦略としてそれを落とし込めない、ということが多々ありました。
皆、その現状を片目をつむって走ってきたわけですが、極限的に進み行く経済競争下の中で、場合によっては両目をつむらなければ前に進めない…そんな状況すら目にするようになっているのが今です。
しかし、これからは「社会のための企業」「お客様のための企業」 「社員のための企業」ということを具体的な戦略へと落とし込まなければいけない時代。モデルとして自社に組み込まなければなりません。
まず、これから大事なことは、貨幣的利益よりもその影響力の方が大切です。つまり、”消費させること”よりも”好きになってもらう”、”参加してもらう”ということの方が大切になっていく。また、マーケットシェアよりもマインドシェアの方が重要です。
また、会社自体はクローズドなピラミッド型から、オープンプラットフォーム型、またネットワーク型へとシフトしていかなければならないということです。スピード感はあるにせよ、新旧問わず業界問わず、この波は広がっていくのです。
まさにこれらの実践を、クラウドワークスさん自身が進めていることにとても感銘を受けました。
時代の底流は、静かに、しかし着実に変化を遂げていきます。