冬の雪や風は、木々を強靭に育て上げる。春に芽吹くためのエネルギーを静かに蓄えている。
前進には、常にストレスが伴う。歩みを進めればどうしても風は吹くのだ。ドイツの詩人ヘンダーリンは、次のように詩った。
「あらゆる喜びは苦難から生まれる。そしてただ苦痛の中にのみ私を喜ばす最善のもの、人間性の優しさは、育つのだ」
どんな時もこの歌を心で歌いながら進んでいく中に、本物の知性が宿る。知性は頭だけ、身体性のみに宿るものではない。抽象的なものでもない。優しさなど人の振る舞いから滲み出るものであり、それはいつも具体性と密接に結びつく。
人間は頭脳では、数字や言語までの抽象度しか、捉えることができない。それ以上は、生命的な経験によって、感得するしかない。言ってみれば、その全体性の中で精神は成長していくものだ。
この道筋にはいつも表裏一体でストレスが存在する。苦難なき人生に真の知性は宿らないのだ。その深さを知る人生に、失敗や敗北という終わりは来ない。