2012年に入り「社内ニート」という言葉を耳にするようになりました。
社内ニートとは、会社に出社していても仕事がない社員のこと。調査で使われる正式名称は「雇用保蔵」と言います。実際の常用雇用者数と最適な雇用者数の差のことを言い、企業が必要以上の人員を抱えている状態のことです。上のグラフは内閣府の調査による社内ニート率こと「雇用保蔵率」の推移。
2008年のリーマンショックの時に跳ね上がった数値が見て取れます。また、2012年の9月時点でも全雇用者の8.5%にあたる最大465万人が「雇用保蔵」状態とのこと。この数字は強烈です。
しかも、現在この社内ニートが若年層化しているとのこと。若者の就業率が問題になっていますが、就職したとしても仕事がないという、若者の雇用保蔵率については、実態の正式な調査がされていないと思います。働き方が構造的に変わってきている昨今、この数字の調査を政府は早期に実施する必要があると思います。
若手が、はやいうちに仕事上の「経験」「体験」、「成功」「失敗」を味わえないとすると、日本社会にとって大損害です。
消費時代からものづくり生産の時代へ。
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なぜ仕事がなくなっていくのか?それは、労働生産性をあげるために、今の仕事をオートメーション化し、アウトソーシング化し、グローバル化していくからです。仕事がなくなっていけば、社内で最も弱い立場の人、つまり若手にそのツケが回っていく構図は目に浮かびます。
しかし、この現象が起こる理由の1つは、企業構造が今だ「消費時代の仕事」に焦点を当てているからです。つまり、多くの仕事はまだ消費を加速させるための仕事を中心と見ているからです。これまでは、営業やマーケティングを始めとして、仕事の焦点は常に「消費を加速させること」「販売を加速させること」にありました。
しかし、現代を冷静に見てみるとどうでしょう。消費社会は末期的な状態です。PCを開けば、グーグルアドセンスで、自分が欲しいものを常にWEB上に表示してくれます。Amazonに行けば、自分が好きそうな商品をレコメンドしてくれます。そういえば、最近Amazonから毎日自分が好きそうな商品のメールが届くのですが、皆さんもそうでしょうか?(笑)
このような状態です。消費を加速させるための仕事はどんどん効率化されていて、人がいらないのです。
そして時代は生産の時代へと移っています。生産の時代は、インターネットの普及率が60%を超えた2002年から、少しずつ始まっています。統計的に60%を超えてくると、ほぼどこの家にもあるな〜という感覚です。自分で気軽にデジタルな作品、コンテンツを作り、発信することができるようになった時代です。
そして、2006年WEB2.0と呼ばれる双方向性の時代のWEBに入り、多くの人が、自分メディアを持ち始め、デジタルにおける生産時代は成長期に入りました。
しかし、これまでは情報、デジタルにおける「生産」でした。いよいよ2013年からは、モノの生産の時代に突入します。情報の生産時代はいわゆる生産時代の始まりの始まり、序の口と言ってもいいかもしれません。生産時代の本流が、デジタルファブリケーション(デジファブ)における「もの生産時代」なのです。
私たちの時間は皆、24時間しかありません。今までは多くの人がこの24時間を「仕事としての消費推進者・販売者」、またプライベートとしての「消費者」としてやってきました。 しかし、これからは仕事においても「生産者」、またプライベートの時間も「生産者」として活動していくことが中心となるのです。
上の写真は3Dプリンターで作ったカップオブジェです。また、Kickstartterでは6万円ほどで買える3Dプリンター「L5 3D」なんかも登場してきました。いよいよ、2013年は生産時代へと本格突入します。
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