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「東京大学の大学院博士課程修了者の就職率はたったの56%」などと報道される昨今、当然ながら、将来に大きな不安を感じる若者が激増しています。
時計・精密機器の「セイコーホールディングス」(東京)が新成人の男女1236人に人生観を尋ねたアンケートで、9割近くが就職難のため今後の人生に不安を抱いているという結果が出た。
アンケートでは、新成人の71%が夢を「持っている」と答えたが、中身は希望する職種に関するものが大半。将来への不安を「感じる」「多少は感じる」との回答は合わせて87・9%に上った。理由は就職難が圧倒的に多く、先行きの不透明さを挙げる回答もあった。
「今の自分の人生をひと言で表現すると」という問いには「平凡」が最も多く40人。「前途有望」などの前向きな答えがある一方で「消化試合」などのネガティブな回答もあった。
これから大切にしたいものはという問いには「お金」が41・3%でトップ。34・9%の「健康」と33・3%の「時間」が続いた。
独立行政法人経済産業研究所の調査によると、設立5年以上の日本企業が毎年減らしている雇用の数は年間60万人です。一方、設立5年未満の新しい企業が毎年生みだす雇用の数は40万人程度。つまり年間20万人の雇用が減少していることが分かります。
そして、このしわ寄せの多くは、若い世代にいくこともよく分かりますね。よって、パラレルキャリアの考え方は必須でしょう。
文明転換後のワークスタイルはほぼ見えてきている
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生産性を追い求め、分業が極限的に進んだ社会は、「個」(パーソナリティー)そのものは失われていきます。
自分自身で判断することは少なくなり、社会に対して「世の中はそのようなもの」と現状に疑問すら持たず、過ぎ去る日々に身をゆだねることができる、ある意味ラクな社会です。
しかし、これがあるべき社会の姿なのでしょうか?むしろ、私にはオルダス・ハクスリーが描いた反理想郷である「すばらしい新世界」に近い社会に見えてしまいます。
現在は、文明的過渡期にあり、蝶が生まれる前のさなぎ状態に社会全体があります。情報化、ロボットの導入、グローバル化によって、生産性の圧倒的向上が進み、今市場経済で取引されているモノの価値はどんどん暴落していきます。
よって、未来は、目に見えるあらゆるものが、限りなく無料に近づいていきます。
例)パンツ(下着)が毎月完全無料!「フリパン」に見る「衣食住無料化」の波
http://social-design-net.com/archives/2350
そして、その時に残るものこそ「個」なのです。
世界に1人として同じ人間はいません。お父さんにとって、息子に代替できるものはありません。妻にとって夫と代替できるものはありません。この「個」の存在の価値だけは、絶対に残る。
例えば現在は、B to Cの事業であれば、1つの事業を成り立たせるためには、1,000人の応援者(顧客)が必要と言われます。しかし、未来は、「あなたに、お願いしたい」と思う人が、1,000人ではなく、その100分の1ほどいれば、生きていける社会になる可能性があります。
今は、働くことを、どれだけお金を稼げるか、どれだけものを買えるか、という「所得と消費」の面からのみとらえることが多いです。しかし、目の前に迫る文明的転換後の社会は、情熱や満足感、時には失望を感じる「豊かな経験」を積んでいくことこそが、働く上で最も大切だという価値観が広がっていることでしょう。
きっと、この辺りに、次の社会のより良いワークスタイルのカタチがあると思っています。
だからこそ、今、あの古き懐かしい言葉が、輝いて見えてきます。それは、「若いうちの苦労は買ってでもしろ」
苦労した経験は、次の時代、必ず生きてきます。戦争経験を伝える役割を持つ世代の重要性は、益々高まるばかりです。新成人は、今の苦労は必ず将来、大きな糧になるとを信じて、進んでいただきたいと思っています。次の「希望の時代」の先頭を走るのは、あなた達です。