気になっていた書籍「Race Against the Machine(機械との競争)」の邦訳がついに発売されました。
今回は、邦訳された機械との競争の一部ご紹介します。
・経済史をひもとくと企業が成長し利益を生み、機械や設備を購入するときには労働者も野党ものと決まっている。だが、アメリカ企業は大不況が終わっても雇用を再開しなかった。
・いま私達が直面している問題の根本原因は、大不況でも大停滞でもない。人々が大再構築の産みの苦しみに投げ込まれているということである。人間のスキルや組織構造の多くは遅れをとっている。
・「いずれは高度なソフトウェア技術によって、文明は労働者がほとんどいない世界に近づいていくだろう。今日、経済のあらゆる部門は技術による置き換えに直面しており、数百万単位の労働者が不要になっている」とリフキンは指摘し、これに対処することが「今世紀において最も急を要する社会的課題」だと主張する。
・これらの例が示すように、パターン認識も複雑なコミニュケーションもいまや自動化が可能だとするならば、人間の能力でコンピュータに驚かされないものは何かあるのだろうか。
・デジタル技術の変化のペースがあまりにも速いため、企業も人間の能力も追いつけなくなった。その結果、何百万もの人が取り残されている。この人たちは職を失い収入を失い、デジタル革命前よりも購買力が減ってしまった。
・1990年代半ばからじまったこの生産性急伸の原動力は情報技術(IT)だということである。
・ロバート・ソローはノーベル経済学賞の受賞講演で、人々がより一生懸命働くから経済は成長するのではない、よりスマートに働くから成長するのだと述べた。これは言い換えれば、新しいテクノロジーやプロセスを活用して、労働力、資本その他のリソースの投入量を増やすことなく、より多くの価値を創出するということである。
・馬車とともに姿を消した馬車用鞭の職人が労働人口に占める割合は小さかったが、今度はそうはいかない。労働人口の90%が負け組になることだってありえる。
・ここで特に重要なのは、テクノロジーが労働者に置き換わる場合、資本財の所有者が手にする所得の割合の増加は、労働者の手にする割合の減少を意味することである。
・凡庸コンピュータは労働人口のうち情報処理的な仕事に携わる60%に直接的影響を及ぼすだけでなく、残り40%も次第に浸食しつつある。
・つまり体の動きと近くとうまく組み合わせる必要のある肉体労働は、基本的な情報処理よりはるかに自動化しにくいことが過去25年間に判明している。この現象は、モラべックのパラドックスとして知られる。
( 書籍「機械との競争」より)
この書籍の主張として、今までの産業革命と明らかに違う点は「技術革新のスピードが速すぎる」という点です。
単純に人間の知的労働を代替していくというだけではなく、労働人口の流動メカニズムがこのあまりにも速い技術革新スピードについていけていないという指摘がされています。数ヶ月ごとに新しい技術、ツールが勃興していく状況を見ていても、まさにそうだと感じますね。
また、面白いところは、代替しにくい仕事は、「”直感や創造に関する仕事”と”一部の肉体労働”だ」ということでした。肉体労働の具体例としては、看護師や美容師、配管工など。これらは、単純な肉体労働ではなく、相手を思いやったり、様々な配慮・機転が必要な仕事です。これも納得ですね。
多種多様な”パラレルキャリアのカタチ”
こういったことを考えていくと、働き方は次のように変化することが予想されます。
20世紀の産業社会 → 本業1つ。家庭内分業
21世紀前半 → パラレルキャリア。2〜3個以上の仕事やライフワークを持つことが普通に。家庭内分業という概念もメインストリームから外れる
21世紀後半 → 情報革命・ロボット革命によって、生産性が極限的に高くなる。そこに政治的サポートも加わり、最低限の衣食住は、ほぼ無料&保証される。よって、それぞれが自分の使命と感じられること、また好きなことを本業にしやすい環境が整う。価値観も多様、家族の形も多様。
参考)21世紀型キャリアを考えるための「パラレルキャリアマトリックス」
私たちは本当に激動の時代を生きていますね(笑)
昨日、パソナの本社であるアーバンファームにお誘いいただき行ってきました。
東京駅の目の前のビルで、多くの野菜が育てられている姿はさすがに圧巻。緑と一体になった1階の広いカフェは明らかに穴場で、コーヒーも180円!これからの東京駅での打ち合わせはここに決まりだなと(笑)
それは置いておいて、有り難いことに新しいキーワードに巡り会いました。それは「半農半芸」というキーワード。半農半Xはよく聞きますが、半農半芸は初めてでした。
パソナさんは、兵庫県淡路島で「半農半芸」という新しい働き方を提案し、音楽家等の芸術家を中心にした独立、就農支援プログラムを実施しています。すごいのは、アートマネジメントセンターという芸術家の仕事を取ってくる営業チームが置かれていること。面白い取り組みですね〜。
これから、多種多様な”パラレルキャリアのカタチ”が世の中に出てくることでしょう。