大企業がクラウドソーシングを”全力で”利用する動きが出てきました。やはり2013年は、クラウドソーシングが大きくキャズムを超えそうです。
米国エレクトロニクス企業大手GEは、3Dプリンタを使った「航空機用エンジンブラケット」のデザインと生産コンテストを開催。
クラウドソーシングを利用し、コンテスト形式でオープンイノベーションを加速させようとしています。
今回は、65万人以上の3Dデータエンジニアが参加しているGrabCadが、3Dデザインコンテスト部門を。
参考)GrabCADがすごい!デジタルファブリケーション時代の3Dデータのインフラか!?
また、3Dプリンタを使った生産コンテストは、技術課題をオープンイノベーションで解決することを得意とするNine Sigmaと組んで行います。
社内に止まることなく、世界中の人材、会社と積極的にコラボレーションをして「3Dプリンタを使った生産ネットワーク」を作る試み。
ジェットエンジンや医療機器部品などの3Dプリンタを使った製造を積極的に押し進める狙いがあります。
今回の3Dプリントのデザインコンテストは、3Dプリンタが可能な「最高の航空機用エンジンブラケット」の3Dデータの作成です。
トップ10に選ばれたデザインは、1,000ドルの賞金。第2審査でトップ8に選ばれたデザインは、20,000ドルのプール資金から賞金が分配される仕組みになっています。
3Dプリント生産のコンテストには、第1審査を通過した企業最大10社へ受賞者へ賞金を5000ドル授与。また、第2審査では、最大3社が5万ドルを受け取れるという流れ。
先日、GEはQuirkyが提携を発表したばかりですが、こちらも良い動きですね。いろんな意味で、GEの本気度を感じます。
日本の課題「インターネットを利用したオープンイノベーション」
上の図は、3Dプリンタの地域別売上高の内訳。3Dプリンタの普及はアメリカ、ヨーロッパ中心に進んでおり、アジアの規模はまだまだ小さいことが分かります。
3D printing looks set to pack a $4B punch by 2025
21世紀の産業革命であるデジタルファブリケーション革命、メイカーズ革命は、「インターネット革命」の延長で起こってきている動きです。日本が得意とする「工業」の流れからではありません。「情報」「知識」の流れからなのです。よって、やはり欧米は強い。
そして、今後日本が最も出遅れる可能性のあるところが、GEが行っているような「オープンイノベーションへの適応」なのではないだろうか、と思っています。
日本の大企業も「広義のオープンイノベーション」は取り入れていました。大企業同士の連携であったり、下請け中小企業と連携です。
しかし、今起こっているオープンイノベーションの波は、インターネット上という解放された空間、また、個人ネットワークとの連携も意味します。
ここに置いては、まだ日本の大企業にとっては、未知の領域という会社も多いでしょう。ある種、これまでの日本の大企業文化とは、相容れない部分も多々あります。
ちなみに、クラウドワークスが、守秘義務契約(NDA)を事前に契約した人だけに限定して仕事を依頼できる「大企業向けクラウドソーシング」の提供を開始しました。
日本の大企業が、どのようにこのクラウドソーシングの大波を捉えていくのか。「2013年は『大企業とは何か?』が問われる年」とずっと言ってきましたが、雇用の流れ1つとってもまさに、そのような状況になってきました。
これからの「大企業の雇用文化」がどうなっていくのか、要注目です。