DIYのガジェット、インテリア、雑貨、レシピなどの作り方をシェアするプラットフォーム「instructable.com」。2013年は投稿数はもちろん、DIYコンテンストの数も増え、順調に進化・発展を遂げてきています。
今回取り上げたいのは、instructableが実験的に運営している「instructableレストラン」という”オープンレストラン”について。
こちらはどういう場所かというと、instructable上にアップされたDIY製品を”リアルに披露する場”という意味合いを持ちます。
例えば、こちらの画像にあるような投稿されたレシピを実際に食べられる場所ということです。また、食べた料理のレシピはその場でもらえます。
そして、レストラン内にあるインテリア等のプロダクトもinstructableに投稿されているもので、気に入ったものがあればそれを自分で作るための説明書をもらえるという仕組み。
instructableレストラン内にあるレシピやプロダクトの作者の名前はクレジットされて、分かるようになっており、それを食べたり、使ったり、作ったりした場合の評価はinstructable.comのWebサイトにフィードバックをするよう勧められます。
この手のコンセプトは、ハンドメイド製品の委託販売モデルがそうであるように、結局有象無象のよく分からないお店となってしまうこともよくあります。
しかし、こちらは「フィードバックの仕組み」と「批評も受け付ける」というレストランの理念もあり、「実験場」という意味合いの中で、レストラン内のレシピ、製品のクオリティーは高く維持できるとのこと。
instructableに投稿する誰もが、このレストラン内でクリエイターとして取り上げられる可能性があり、かつ、自身のプロダクトの声をもらうためのリアル場ともなっています。
ちなみにこのレストランは、instructable.comに投稿するようなメンバーはもちろん、アクセスをする人、そして一般客も普通に入ることのでできるレストラン。
レストランの作り方についても、instructableに投稿されていて、誰もがinstructableレストランを始めることができるというのも面白いですね。
Make an Instructables Restaurant
地域から新しい製造メーカーを生み出す仕組みを
この”オープンレストラン”というコンセプトは、メイカー時代、生産社会の実験場として必要です。
例えば、自分が興味深い木のオモチャを作ってみた。それをいきなり、クラウドファンディングにあげることも1つですが、まずは、地域のオープンレストラン、もっと言えばオープンなメイカーズショップのような場所に製品をピックアップし、置いてもらえるように働きかける。そして、基本的な作り方はオープンにしてしまう。
そこで販売してみたり、実際に作ってもらったりしながら、声をフィードバックしてもらい、自身の製品をブラッシュアップするということです。
ちなみに、それに現時点で最も近い場は、地域で言えば「道の駅」でしょう。道の駅とは、国土交通省によって登録された、休憩所や食事処、地域振興が目的とされた施設。こちらには、農家の直売所も入っていて、多くの小規模農家さんの野菜の卸先となっています。
ここを地域のメイカーにもどんどん解放していくのです。現時点でも、木彫りのおもちゃなど、ちょっとした工芸品の販売は行われていますが、今回のinstructableレストランのように、より”オープンな理念”のもとに広く解放されていくと良いと思っています。
以前、メイカーズ時代、地域主体で立ち上げるクラウドファンディングプラットフォームは、「21世紀の道の駅」であるという記事を書きました。
【参考】
・ついに登場!クラウドファンディングのオープンソースプラットフォーム「Crowdhoster」
地域としてクラウドファンディングにあげる製品は、できる限り成功させたいと思うわけで、地域一丸となって応援するでしょう。
しかし、地域だけの応援でプロジェクトを成功させても、それは小さな影響力で終わってしまい、お手盛りプロジェクトと評価されてしまってはもったいありません。
国内、もしくは海外への発展を目指すという意味では、製品をプラッシュアップするための「リアルの実験場」が必要であり、フィードバックををもらう仕組みが必要です。
つまり、オープンレストランにて、製品をレベルアップさせ、ブラッシュアップされたプロダクトをクラウドファンディングにあげるという流れが理想的でしょう。
いずれにしても、このような生産社会を支えるリアルの場が日本でもたくさん立ち上がってくることを願います。
【Social Design Newsから本が出ました】
働き方は無限大。
組織や事業の寿命よりも、人が働く時間のほうがはるかに長くなった現代。
テクノロジーの進化と人々の価値観の変化によって、「働き方」が大きく変わりつつある。
メイカーズ、クラウドソーシング、クラウドファンディング、ソーシャルスタートアップ……「仕事の未来」には、無限の可能性が広がっている。
あなたは、どの働き方を選びますか?
さらなる進化を遂げるテクノロジーと新たな時代の価値観が出会ったことで、
これまで考えられなかった(あり得なかった)ような働き方が可能となった。
今、私たちの目の前には、数限りない働き方が存在する。
私たちは、自らの働き方を自分で選び、実行していかなければならない。
それが、本書の言う「ワーク・デザイン」である。 ――「はじめに」より
本書では、これからの働き方の新構造を次の7つのステージで捉えた内容となっています。
・新しい「働く」の価値観
・消費社会から生産社会への潮流
・ワークプロセスの文明的大転換
・組織形態の変化
・キャリアデザインについて
・タスクデザインについて
・これから必要とされる個別スキル
現在の「働く構造の進化」は、各ステージをバラバラに見ても分かりません。7つの構造全体を体系的に捉えることで、始めて進化の本質が見えてきます。
Amazonの「なか見検索!」で一部内容を読めるようになっていますので、ご興味のある方はこちらからご確認ください。【書籍】ワーク・デザイン これからの働き方の設計図
※ライフハッカー[日本版]で本書を大きく取り上げていただきました。
「いま、新しい働き方『パラレルキャリア』が重要だ、と言える理由」