話題になっている世界初の3Dプリンタ自動販売機Dreambox。
ユーザーがUSBスティックもしくはインターネットから、3DデータをDreamboxサーバにアップロードし、造形する仕組みです。
こちらはイメージ動画。短いですので一度ご覧あれ。
素材は、ABS樹脂、PLA(バイオプラスチック)、ナイロン、木材、金属などで使用できるようです。
早速、カリフォルニア大学バークレー校に設置されるとのことですが、面白いのは今後「3Dプリンタ自販機」をフランチャイズ展開していきたいと考えているところ。
3Dプリンタは材料の補充や、トラブルのサポート、多少のメンテナンスなど必要になるので、今後このような 事業の可能性は広がっていくことでしょう。
どこにでも3Dプリンタが置かれている未来は、決して遠い遠い未来ではありません。
日本でメイカーズムーブメントが出遅れている理由
photo credit: Sam Ilić via photopin cc
日本は、人件費が高いということもあり、ものづくりのデジタル化に関して世界的に遅れていたわけではありません。産業用3Dプリンタも1990年代から各製造業でラピットプロトタイピング作成や部品の生産で使われていたのです。
しかし、今回のメイカーズムーブメントの流れには、若干乗り遅れている感があります。
その理由については、大きく分けて次の4つのことが考えられます。
・個人やチームでものづくりを始める「メイカーズムーブメント」は、0から1を作り出すイノベイティブな取り組み
→クラウドファンディング大手Kickstarterを見ていただいても分かりますが、メイカーズ達が取り組む製品は、新しいコンセプトの製品です。見たことも聞いたこともないような製品。日本は、カイゼン(改善)という意味で世界でもトップクラスの実力を持っていますが、0から1を作り出すようなクリエイティブなものは、欧米が得意とするところです。
・日本の技術がコモディティー化するという恐れ
→デジタルファブリケーション技術の進展により、「職人技術」と言われていたものが、誰でも再現可能なコモディティなものになってしまう。よって、このデジタルファブリケーションの流れは、今までの日本の製造業にとってマイナス面もあります。つまり、自分たちの首を絞めかねないという意味でも、なかなか手を付けにくい という側面があります。
・欧米は、見た目に感動。日本は素材や構造に感動
→ 欧米のものづくり文化は、見た目そのものに感動するという文化があります。3Dプリンタは、どんなカタチでも作れてしまうという創造性が1つの長所であり、見た目及び製造プロセスのインパクトに秀でた造形方法です。一方日本は、素材や構造に感動するものづくり文化であると言われています。見た目も当然ありますが、その背景にこそ興味を持つわけです。こういった意味でも、デジタルファブリケーション革命の最初の広がりは、欧米の方に分があったと言えます。
・オープンイノベーションをベースにしている
→ものづくりが工業型から知識型へと移行する中で、その背景には、インターネットがありWEB文化が存在します。その中でも、インターネット上で多くの人に参加してもらいながらモノを作るというオープンイノベーションは、やはり、WEB文化が深く浸透している欧米の方が強いと言えるでしょう。例えば、ローカルモータースはWEB上のコミュニティーで自動車を作り、3D Roboticsは、WEB上のコミュニティーで無人飛行機をデザイン、設計していきます。日本のものづくりは、このオープンイノベーションをどのように取り入れていくかが今後の課題の1つとなるでしょう。
以上が、このメイカーズムーブメントで、日本が若干遅れをとっている理由ですが、1点お伝えしたいことがあります。それは、だからといって日本がこの21世紀の産業革命の波にのることができないということではありません。
日本には非常に重要な長所があります。それは「一度それが良いものだと認識されると、その普及速度は世界のどの国よりも、末端までスピーディーに広がる」ということです。
最近で言えば、Twitterにしても、Lineにしても、マインドマップにしても、とにかく普及が始まったらあっという間に広がっています。これを肌身で感じている人は多いでしょう。
そのような意味でも、このデジタルファブリケーション革命、メイカーズムーブメントはキャズムを超えたら日本でも一気に広がる。日本のものづくりの未来は暗くない!と思っています。期待と希望をよせて。